前回に引き続き、一人ひとりが「つくることによって学ぶ」ことを支援するために、創造的な学び(クリエイティブ・ラーニング)のパターン・ランゲージである「ラーニング・パターン」を紹介する。今回は、「学びのチャンス」「つくることによる学び」「学びをひらく」という3つの原則に関連する36パターンを紹介する。今回紹介するラーニング・パターンの活用事例として、次回はプランニング(計画)とリフレクション(振り返り)を、次々回はラーニング・パターンを用いたダイアログ(対話)のワークショップを取り上げる予定である。
ラーニング・パターンの全体像
ラーニング・パターンは、《学びのデザイン》を中心として、《学びのチャンス》を自ら生み出すこと、実際の活動のなかで《つくることによる学び》をすること、そして一人で取り組むのではなく《学びをひらく》ということ、という3つの原則によって体系づけられている。
以下では、3つの原則のそれぞれに関連するパターンを紹介していく。以下、《 》で囲まれているものが、パターン名(パターンの名前)である。

ラーニング・パターンの原則1「学びのチャンスをつくる」
創造的な学びを実現しようと思っても、あれこれ迷って悩んでいるだけでは何も始まらない。そこで、興味・関心があると感じる分野・領域に《まずはつかる》ことが重要である。そしてその環境のなかで、周囲の人のやり方を《まねぶことから》始め、わからないこと・できないことについては自分で理解・実践できるようになるように聞く《教わり上手になる》ことが重要である。
そして、積極的に創造活動に参加し、アウトプットに携わっていく。そのなかで《アウトプットから始まる学び》を行っていけばよい。大切なのは、「今できるか・できないか」ではなく、「最終的にできるようになるか・ならないか」である。特に、外国語を習得したいと思っている場合には、単語や文法を覚えて(インプットして)から使う(アウトプットする)のではなく、実際に使う(アウトプットする)ために調べて(インプットして)学んでいくようにする。そのためには日頃から、外国語でツイートしたりブログを書いたりするような《外国語の普段使い》の工夫をするとよいだろう。また、自分が楽しく続けられるように、《学びのなかの遊び》を取り入れるとよい。

何かの理解を深めたいときには、それに必要な知識が得られそうな分野・領域を探索し、《学びの竜巻》に巻き込むように集め、吸収していく。そのような学びの過程においては、知らないことを知り、考えてこなかったことを考えることになるので、興奮や感動を覚えるはずだ。そのような《知のワクワク!》を、次の学びの原動力にするとよい。そういうサイクルを連鎖的にまわしていくと、やがて《量は質を生む》ことになる。ある量を超えると、突然深い理解や洞察が得られるようになる。
何かのスキルを身につけたいときには、《身体で覚える》まで繰り返し練習することが大切である。例えば言語習得の場合には、《言語のシャワー》をじゃぶじゃぶに浴びることで、身体に馴染ませていく。そのための環境は、自ら構築して、自分に合うようにするとよい。とはいえ、繰り返しの練習は単調になりがちで、継続へのモチベーションが下がりやすいので、自分がどれだけ伸びたのかという《成長の発見》ができる工夫をするとよい。

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井庭 崇(イバ タカシ)
慶應義塾大学総合政策学部准教授。博士(政策・メディア)。専門は、パターン・ラン ゲージ、システム理論、創造技法。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て、現職。編著書・共著書に『複雑系入門――知のフ...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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