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週刊DBオンライン 谷川耕一

「分析に集中したい」―SilentLogが選んだBluemixのSpark as a Service


 Hadoopはビッグデータのブームと共に市場を駆け抜け、ここ最近現実味のあるソリューションに落ち着いてきた感がある。実際に企業の本番システムで運用されているHadoopは、日本ではまだまだ少ないかもしれない。とはいえ、具体的にHadoopをどう活用すればいいのかの理解は進んだようだ。そんなHadoopのエコシステムには、いまやさまざまなものがある。中でももっとも元気がいいのがSparkだ。このSparkにご執心なのがIBM、自社のBIやアナリティクスのソリューションのベースをSparkにしていくと表明しており、かなりのリソースをSparkに投入している。そんなIBMから、いち早くSparkのパブリッククラウドである「Spark as a Service」が登場している。

Sparkを手間なくすぐに使いたかった

 このSpark as a Serviceを日本で最初に選んだのが、レイ・フロンティアという会社だ。同社は、もともとは位置情報活用やAI関連システムの受託開発を生業にしていた。2014年からは自社製品を提供しようとなり、iOS向けのアプリケーションを開発している。提供しているのが「SilentLog」だ。これはiPhoneにインストールするだけで、簡単に日々の活動をトラッキングしてくれ、撮影した写真などと共に簡易的な日記のようなものを作ってくるアプリケーションだ。

 「SilentLogは、現在月間で2万人くらいが利用しており、ユーザーはさらに増え続けています」と語るのは、レイ・フロンティア代表取締役 CEOの田村建士氏だ。GPSを使いライフログを記録するようなアプリケーションでは、バッテリー消費量の多さが気になるところ。もともと位置情報を扱うシステムの開発をしていたこともあり、レイ・フロンティアにはGPSを活用しても電力消費量を最小限に抑えるノウハウがあった。さらには、グラフなどで歩数を記録するものが多い中で、簡単に日記風の記録が残せる点もユーザーには受けている。

レイ・フロンティア代表取締役 CEO 田村建士氏
レイ・フロンティア代表取締役 CEO 田村建士氏

 ユーザー数が増え、集まったデータをどう活用するかが次なるチャレンジだった。

 「社内に2万人の行動データがあります。これをどう活用するか。行動情報と属性情報があれば、人が次にどのような行動をとるかを予測できると考えました」(田村氏)

 行動を予測できれば、その人に対し最適なタイミングにプッシュで有益な情報を提供できる。

 「仕事が終わって家でくつろいでいて、ソファーなどに座ってスマートフォンを持った瞬間を見計らって情報を出す。そういったことがデータを分析すればできるようになります。ビッグデータを分析するためのプラットフォームを提供するベンダーが多い中、レイ・フロンティアにはリアルな2万人の情報がある。自社でデータを持っていて、それを独自のアルゴリズムで分析し情報を価値に変えます」(田村氏)

行動を予測し、最適なタイミングで有益な情報をプッシュ通知するSilentLog

 これは蓄積したSilentLogの情報を抽出して売るようなサービスではない。行動データを分析し、そこから何らかの知見を導き出して利用できるようにするものだ。そのために同社ではSDKを用意し、企業などが作るアプリケーションの中に、レイ・フロンティアの持っている情報を分析した結果を利用する機能が組み込めるようにするのだ。

 「位置情報を活用するプラットフォームがあっても、そこから取得した位置情報を何に使えばいいかが分からないことも多いです。我々は、すぐに使えるようにするソリューションとして提供します」(田村氏)

 情報がすでにあるので、さまざまな実験がやりやすい環境にある。なので、顧客の要求にも何らかの結果をすぐに返すことができる。そこが分析のプラットフォームだけを提供するベンダーとの違いだと言う。

 2万人の行動情報をリアルタイムに分析する環境に選んだのが、IBM BluemixのサービスであるSpark as a Serviceだった。これを使って、蓄積したデータに対し機械学習的なこともすでに行っている。

 Bluemixを選んだ理由について、代表取締役 CTOの大柿 徹氏は、「分析の環境をどうやって作るかではなく、分析することに集中したかのです」と説明する。PaaSであれば環境構築の手間を大幅に削減できる。もちろん最初は自前でやることも検討し、Amazon Web Services上にSparkの環境を作ることも考えた。しかし、結果的にはBluemixを選んだほうが速いし手間がかからないと判断したのだ。

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フレンドリーなAIを実現して人の能力を伸ばすようにしたい

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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