2025年4月23日、電通と電通デジタルおよび日立製作所(以下、日立)は、生成AI領域における戦略的協業に関する記者会見を開催した。

(左から)
dentsu Japan グロースオフィサー(特任執行役員)/エグゼクティブ・クリエイティブディレクター 並河進氏
株式会社電通デジタル CAIO 兼 執行役員 山本覚氏
株式会社日立製作所 AICoE Generative AIセンター 本部長 吉田順氏
今回の協業により、3社は共同プロジェクト「AI for EVERY」を始動。同プロジェクトは、3社のAI技術の開発・活用における専門性を生かして、生活者に寄り添った生成AIサービスの検討・提供を行うものだという。
プロジェクト始動の経緯について、日立の吉田氏は「トップライン拡大のユースケースを増やすため」だと語る。従来、生成AIのユースケースはコスト削減が主だっていたが、今後はその一歩先を行き、マーケティングコンテンツの生成やAIコンシェルジュによる次世代型接客、顧客体験のパーソナライズ化など売上向上につながる事例を増やしていく必要があるという。
同プロジェクトにおいて、日立は社会課題の解決という視点から貢献。電通、電通デジタルは“生活者の動向”という視点から貢献していくとのことだ。このプロジェクトの優位性について、吉田氏は「バックエンドから生活者までトータルで支援できる点」だと語る。日立のバックエンド領域における知見と電通・電通デジタルの生活者に対する知見をかけ合わせることで、新規性を見出す狙いとのことだ。

また、本会見では協業プロジェクトの第1弾として「今日の気まぐレシピ」が発表された。これは、スーパーマーケットなどの流通業をターゲットに「シェフの気まぐれサラダ」のようなレシピをAIで生成するサービスだという。現在進行形でシステムを開発中だとしている。
同サービスのシステムにおいて、3社は以下のような役割を果たすとのことだ。
- 日立製作所:需給予測・受発注および在庫管理などのシステムを提供。具体的には、需要予測型自動発注サービスと、専門店向けトータルシステム「HITRMD」を提供する
- dentsu Japan、電通デジタル:広告生成に関連する生成AIソリューションの技術を提供。具体的には、「∞AI(ムゲンエーアイ)」ソリューション群、AI広告コピー生成ツール「AICO2」などを活用

今後は、金融業界向けのAIエージェント・AIアバター、生体認証・決済サービスやAIアバターを活用した人材不足対策、NFTアートを活用した購入商品のサポートなども検討しているという。
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