電通デジタルは、AIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」を大型アップデートし、社内での本格運用を開始した。各ソリューションにAIエージェントを導入し対話を重ねることで、企業のデジタルマーケティング活動支援の高度化・効率化・利便性向上の実現を目指すという。
デジタルマーケティング分野では、データ分析・企画立案・顧客理解・コンテンツ生成などのプロセスをAIエージェントとの対話を通して実行することで、人間とAIの理想的な協業が加速することが期待されているという。一方で、企業がAIエージェントを戦略的に活用するためには、データ統合・処理基盤の整備および各種AI機能間のシームレスな連携が不可欠だ。
電通デジタルは今回、データ分析のエージェント型ソリューション「∞AI Marketing Hub」内における4つのソリューションの開発と、デジタル広告の制作プロセスをAIにより効率化・最適化する「∞AI Ads」において、画像・動画生成、効果予測の精度向上、およびフローの対話化のアップデートを行ったとしている。

∞AI Marketing Hubの4つの新ソリューションについて
①∞AI Customer Data Hub:データを自動で構造化
企業が保有する1stパーティデータや、AIチャットで取得した対話や各種調査から得られるデータに加え、電通デジタルの各種マーケティングデータなどを自動的に統合・構造化し、顧客一人ひとりのカルテをリアルタイムで生成。データの一元的な閲覧性が向上し、その後のAIによる洞察抽出・施策生成の精度を向上させるという。
②∞AI Customer Twin:仮想顧客AI生成
∞AI Customer Data Hubに蓄積・統合されたデータを基に、顧客一人ひとりの心理・行動特性を忠実に再現した仮想顧客AI(カスタマーツイン)を生成。担当者がAIエージェントを通じ、仮想顧客との対話型インタビューや調査を迅速に実施することで、マーケティング施策の仮説検証や分析、施策の検討・提案を高速に行うことが可能になるとしている。
③∞AI MC Planning:マーケティングコミュニケーション施策のプロセスを対話化
広告配信におけるメディアプランニング、広告コピーの企画・効果予測などのマーケティングコミュニケーション(MC)施策における一連のプロセスを、一気通貫でAIエージェントとの対話形式により実現。∞AI Customer Data Hubおよび∞AI Customer Twinとの連携を通して、顧客一人ひとりの特性を踏まえパーソナライズされたメディアコミュニケーションプランをリアルタイムに提示し、企業の迅速なマーケティング意思決定を実現するとのことだ。
④∞AI CX Planning:CX改善のアイデア創出プロセスを対話化
顧客体験(CX)の改善を目的とした、カスタマージャーニー設計や対話型AIチャットを活用した新規事業・サービスのアイデア創出、既存事業の高度化など、アイデア創出のプロセスをAIエージェントとの対話形式で実現。∞AI Customer Data Hubや∞AI Customer Twinに蓄積された顧客の嗜好、購入履歴、インサイトなどのデータとの連携により、それらを統合的に反映した顧客体験の設計を迅速に実施でき、革新的な商品・サービス創出の実現を加速するとしている。
上記各ソリューションは単独でも活用可能だが、AIエージェントとして複数のソリューションがシームレスに連携し、担当者は一連のAIとの対話の中で各ソリューションを利用できるとのことだ。
∞AI Adsのアップデートについて
①マルチモーダル生成AIの搭載
これまで活用してきた機械学習に加え、マルチモーダル生成AIを搭載し、効果の予測・改善サジェストの精度を向上。一般常識やマーケティング手法などを学習しているマルチモーダル生成AIを活用することで、企業の保有しているデータを加えるだけで対話形式での高精度な予測を出力できるようになるという。
②対話形式でのプランニング・施策実施
∞AI MC Planningで出力される、広告配信におけるメディアプランニング、広告コピーの企画・効果予測の施策案を基に、対話形式で実際に配信するクリエイティブの生成やその効果予測・改善といったPDCAサイクルを実現するとしている。
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