ServiceNowは米国時間9月10日、新しいZurich(チューリッヒ)プラットフォームのリリースを発表した。
同社は年に2回、「ファミリーリリース」と呼ばれるプラットフォーム機能のアップグレードを行っており、今回のリリースもその一環。ファミリーリリースの名称には従来よりアルファベット順で都市名を据えており、前回の「Yokohama」リリースに続き、今回は「Zurich」が採用されている。
説明会では、同社 プレジデント 最高製品責任者(CPO)兼 最高執行責任者(COO) アミット・ザヴェリー氏が登壇し、「今回のZurichリリースで、アルファベットのリリース名の最後に到達した。Zurichリリースは、エージェント型ワークフォースにおける次世代の可能性を解き放つ機能を備えている」として、機能の詳細を説明した。

同氏は「Zurichリリースがアプリケーションの在り方を大きく変える」とし、AIエージェントによって誰もが簡単かつ迅速にアプリケーションやワークフローを構築できるようになることを指摘。具体的な特徴として以下の3つを紹介した。
- Build Agent:会話型の開発を可能にすることで、人間の思考と同じスピ―ドでビジネスアプリをVibe Codingで構築できる。開発ライフサイクル全体を自動化することが可能
- Developer Sandbox:単一のインスタンス内に隔離されたサンドボックス環境を提供。複数のチームが協働して新機能を構築・テストできる環境を整備することで、開発ライフサイクルをモダナイズできる
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Trust&Security:「Machine Identity Console」や「ServiceNow Vault Console」を含むセキュリティ機能を標準搭載したことで、ワークフロー全体で機密データを保護し、統合を管理できる
- Machine Identity Console:エンタープライズグレードの認証を提供し、ボットやAPIを統制する。これにより、アカウントとそのアクセスレベルが可視化。古い認証モデルやリスクのあるアカウントを検出し、セキュリティ強化のための明確なステップをユーザーに推奨する
- ServiceNow Vault Console:新たに発見された機密データを保護するための推奨事項を提示し、主要な指標を監視できるカスタマイズ可能なダッシュボードも提供する

加えてアミット氏は、エージェント型ワークフォースを前進させる機能として、「Process Mining」および「Task Mining」機能が新たに追加されていることを説明した。これらの機能を用いることでデジタルアプリケーション間の操作を観察できるため、日々の業務の実態把握が可能だという。特に複雑で非線形なプロセスをデータドリブンに可視化できるとした。
さらに、従来のプレイブックを進化させたものとして「Agentic Playbooks」を発表。あらかじめ定義されたビジネスルールやプロセスに基づいた自動化ステップを順序立てて構成した従来の枠組みにAIを組み込むことで、モデルをさらに強化したとしている。
アミット氏は最後に、「第2四半期に行ったトップ20件の取引のうち、18件にAIソリューションが含まれていた。AI主導ソリューションの需要拡大を背景に、エンタープライズ規模の顧客基盤にAIが浸透してきている。日本企業が抱えている課題も、AIの正しい導入によって解決できるだろう」として、日本市場に引き続き注力していく姿勢を見せた。
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