電通総研は、SAP製ERPシステムを利用する国内企業295社への独自調査をまとめた「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」を発表した。
同調査は、電通総研が2018年より毎年実施・集計しており、SAP製ERPシステムを導入・利用する国内企業の動向をはじめ、意識・実態や課題などの最新情報を提供するもの。今回の調査では、過去3年間(2023年~2025年)の時系列分析を加え、SAP製ERPシステム利用企業の経年変化も可視化しているという。
調査概要
- 調査期間:2025年9月9日~10月31日
- 調査対象:SAP製ERPシステムを導入している国内企業 約1,300社
- 調査方法:電通総研マーケティング部門のダイレクトコールによるヒアリング/各種メール配信によるWebアンケートフォーム回答/郵送によるアンケート用紙回答
- 有効回答数:295社(「SAP ERP Central Component(ECC) 6.0」ユーザー165社、「SAP S/4HANA」ユーザー130社。両ソリューションを利用している企業は、いずれにも加算して算出)
2024年度の調査結果と比較すると、SAP S/4HANA利用ユーザーの比率は5.7ポイント増加。利用ユーザー増加率は鈍化しつつあるが、2023年から2025年の3年間では16.6ポイント増加している。
「SAP ECC6.0」ユーザー企業の想定するSAP S/4HANAへの移行については、2023年および2024年度の調査結果と同様に、「コンバージョン方式」を想定している企業が最多。第三者保守への移行、SAP S/4HANA以外のERPを導入するといったSAP S/4HANA移行以外の方法を検討する回答も増加している。
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SAP S/4HANAの導入・移行方式としては、「SAP ECC」からブラウンフィールド方式で移行した「ストレートコンバージョン」を選択した企業が47.6%(60社)と最も多く、2025年度調査では「SAP S/4HANAを新規導入した」を上回る結果となった。
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2025年度の調査では、移行後に想定しているライセンス形態について、SAP Cloud ERP PrivateまたはSAP Cloud ERPいずれかのクラウド型ERPを想定していると回答した割合が昨年度比で4.3ポイント増加。現在利用しているライセンス形態に関しても、SAP Cloud ERP PrivateまたはSAP Cloud ERPいずれかのクラウド型ERPを利用していると回答した企業の割合が昨年度比で16ポイント増加している。
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2025年度の調査結果では、SAP S/4HANAを新規導入した企業を除くSAP S/4HANAへの移行費用は「10億円以上」と回答した割合が26%(19社)と最も多く、「5億~10億円未満」の回答が24.7%(18社)と続いている。移行費用が5億円以上と回答した企業は、全体の半数以上となった。
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2025年度の調査では、今後最も取り組みたいテーマについて、SAP ECC6.0およびSAP S/4HANAユーザー企業ともに「AI活用」が最も多く、経営データの分析効率化・高度化、ローコード開発ツールによるアプリケーション開発と続いた。SAP S/4HANAユーザー企業においては、「テスト自動化」を選択した企業が31%(36社)に上る結果となった。
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