アクセンチュア、調査レポート「Ever-ready for Every Opportunity: How to Unleash Competitiveness on the Cloud Continuum」の作成にあたり、日本を含む25カ国の民間企業や公的機関の経営幹部約4,000名を対象に実施した調査結果を報告した。
今回、調査対象となった企業は、平均して3分の2以上の業務を今後3年から5年の間にクラウドに移行する計画を立てているという。しかし、クラウド価値の最大化に向けて、日常的な業務オペレーションの変革、それによる高付加価値な業務の推進、ビジネスニーズに応じたアプリケーションの刷新を行っている企業の割合は、半数にとどまっていることが明らかになったとしている。
同社は本調査において、クラウド機能の継続的な改善と拡張を図ることで、クラウド価値を最大限に引き出している企業を「クラウド先進企業」と定義。クラウド先進企業の割合は、地域によって異なるが、本調査対象の約12~15%を占めているという。また、クラウド先進企業は、パブリッククラウドで得た知見や経験を自社のプライベートデータセンターやエッジデバイスにまで広げて活用し、業務変革を推進しているという特長があるとしている。
さらに、クラウドを継続的に利用することで大きな利益を生み出して、競合他社を凌駕しているほか、未知のリスクに対する高い耐性も有しているという。クラウド先進企業は、コスト削減や効率化のために単発的にクラウド移行を行っている企業と比べて、次のような特長がある。
- 高付加価値をもたらす業務を創出し、自動化や業務システムの再構築を推進している割合が、2倍~3倍高い結果となっている
- 1.2倍(北米)~2.7倍(欧州)のコスト削減を達成している
- 拡販の強化や市場投入までの時間短縮に関して、同業他社に比べて最大で50%高い目標を設定するなど、運用面や財務面に関するより高い目標を掲げている
- 2つ以上のサステナビリティ目標に対してクラウドを活用している割合が、3倍に上る
加えてアクセンチュアは、クラウド先進企業におけるクラウド活用の実態調査を通じ、企業が押さえるべき4つのアプローチを定義している。
- 目標に向けて継続的にクラウドを活用:企業は、自社のコアバリューや目標を明文化したビジョンに沿って戦略を策定した上で、競争上の弱点を特定し、現状の能力と将来必要になる能力を分類する必要があるという。この際、クラウドの機能は継続的に進化していくことを考慮に入れなければならない
- テクノロジー活用の強化に向けて、クラウドを起点とした組織づくりを推進:企業は、テクノロジーの導入と同時に、デジタルの進化に合わせてテクノロジー以外の取り組みも強化していく、規律ある組織体制が必要になる。また、クラウド先進企業であり続けるためには、俊敏性が重要な要素のひとつであり、クラウドファーストのアプリケーション開発、人材の変革、実証実験、コンピュート(データ処理を行う仮想マシン)の強化をはじめとするさまざまな領域で求められる
- 優れた体験の提供に向けてイノベーションを加速:クラウド先進企業は、優れた体験の創出に向けて優先的に投資しており、人間中心設計(human-centered design)とエッジコンピューティングなどクラウドベースのテクノロジーを組み合わせながら、あるべき体験を再考し、顧客やパートナー、従業員との関わりを強化。このためには、製品やサービス、従業員、デリバリーモデルなど、事業全体にわたって体験を重視する姿勢が欠かせないという
- 戦略に対するコミットメントを継続的に実践:経営幹部は、事業目標を定めて適切なリスクレベルを設定した上で、俊敏性と成長を重んじる組織文化を醸成していく必要があるという。このためには、全社を挙げて取り組む必要があり、進化を続けるクラウドの可能性とそのベストプラクティスに関する情報を、企業全体で共有できる体制を構築することが重要になる
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