東京オリンピックなどでのサイバー攻撃対策で需要拡大
2016年の国内情報セキュリティ製品市場規模は、前年比4.0%増の2,807億円と推定している。セキュリティソフトウェアの市場規模は、前年比4.2%増の2,339億円、その内SaaS(Software as a Services)型セキュリティソフトウェアの市場規模は、前年比20.2%増の173億円と推定している。また、セキュリティアプライアンス製品の市場規模は前年比3.2%増の468億円と推定している。
2016年の国内セキュリティソフトウェア市場は、クラウドやモビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術を活用した第3のプラットフォームへの移行と標的型サイバー攻撃の対策需要によって、アイデンティティ/アクセス管理市場と企業向けエンドポイントセキュリティ市場、Webセキュリティ市場、ネットワークセキュリティ、そしてセキュリティ/脆弱性管理でニーズが高まった。
2017年以降は、2019年に開催されるラグビーワールドカップや2020年に開催される東京オリンピック/パラリンピックでの重要な社会インフラへのサイバー攻撃の対策需要と、マイナンバー法や改正個人情報保護法の法規制による個人情報への保護対策強化によって、同市場に対する需要が拡大するとみている。
国内セキュリティソフトウェア市場の2015年~2020年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.4%で、市場規模は2015年の2,246億円から2020年には2,792億円に拡大すると予測している。
SaaS型セキュリティソフトウェア市場、2015年~2020年のCAGRは15.8%と予測
SaaS型セキュリティソフトウェア市場は、クラウド/モバイルの進展によって情報資産の活用範囲が拡大し、エンドポイントセキュリティ市場やアイデンティティ/アクセス管理市場を中心に需要が高まっている。
2017年以降は、第3のプラットフォームテクノロジーによって実現されるデジタル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)によって、社内/社外に関わらずさまざまなエンドポイントデバイスから情報資産を活用する機会が多くなり、クラウド型のセキュリティゲートウェイよるセキュリティ対策への需要が高まるとみている。
また、マイクロソフトのOffice 365やAzure Active Directoryとのクラウドベースでの連携ソリューションのニーズも高まっており、SaaS型ソリューションに対する需要が拡大するとしている。国内SaaS型セキュリティソフトウェア市場の2015年~2020年のCAGRは15.8%で、市場規模は2015年の144億円から2020年には299億円に拡大すると予測している。
2016年の国内セキュリティアプライアンス市場は、標的型サイバー攻撃対策需要によって多層防御を備えたUTM(Unified Threat Management)市場が拡大しているが、ファイアウォール/VPNはUTMへの移行が進み軟調だった。
2017年以降は、セキュリティソフトウェア市場と同様、重要社会インフラへのサイバー攻撃の対策需要と、マイナンバー法や改正個人情報保護法の法規制による個人情報への保護対策強化によって、同市場に対する需要が拡大するとみている。市場全体の2015年~2020年のCAGRは4.6%で、市場規模は2015年の454億円から2020年には567億円に拡大すると予測している。
今回の発表はIDCが発行した「国内情報セキュリティ市場予測アップデート、2016年~2020年」にその詳細が報告されている。