2016年の国内ITサービス市場は、前年比成長率1.4%の5兆4,515億円になったとみられる。国内ITサービス市場は、2014年から2015年にかけて、2年連続で3%を超える成長を実現したが、2016年に入ると、それまでの成長を支えた金融機関や官公庁/地方自治体における大規模プロジェクトが終息に向かった影響が広がり、成長率が鈍化した。
2017年以降の国内ITサービス市場は、クラウドやIoT(Internet of Things)などの第3のプラットフォームやデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資が徐々に存在感を強めていくものの、国内経済の低成長見通しや、ITサービスの代替製品/サービスの影響により、徐々に成長のペースを下げていく。2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は1.1%とIDCでは予測している。
低成長が続くことが予測される国内ITサービス市場だが、DXに関わる支出は新たな成長領域として存在感を強めるとみられる。IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は「業界の壁を超えた連携やエコシステム構築が重要になる中で、ITサプライヤーは、DX時代の新たな競争環境における自社のポジショニングを明確化すべきである」と分析している。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内ITサービス市場 産業分野別予測、2017年~2021年」にその詳細が報告されている。このレポートでは、国内ITサービス市場を12の市場セグメント、および、ユーザ企業の産業分野別(18産業)に分類し、2021年までの市場規模予測を行っている。