はじめに
ファシリテーションとは会議をスムーズに進めるだけでなく、仕事の段取りそのものを効率的にする術ですから、こういった場面がそもそも生じないようにする方法も考えるのもファシリテーションです。前回はコンテクストの観点から資料の作り方やパワーポイント道の守・破・離を説明しましたが、今回は効率性の観点で話をしたいと思います。
どうしてそんなに仕事が遅いのか?
金曜の会議で使いたいんだけど、もうできた?
まだ整理できてないです
単純に製品情報をベンダーから貰ってまとめるだけだろ?
回答に1週間くらいかかるってベンダーの人に言われまして・・・
1ヶ月もあったのだから別に問題ないだろう
昨日頼んだらそう言われたんですよ
まったく・・・
それで、比較する観点ぐらいはもう出来上がってるよね?
どういった観点でまとめたらいいのか決まらなくて・・・
次の会議に間に合わないぞ!
仕事が遅い理由を単にスピードの問題と片付けないことが重要
さすがにここまで極端に叱られることは少ないかもしれませんが、仕事の進め方が悪くて上司から何らかの指導を受けた経験を持つ方は多いと思います。事前に決めた期限に成果物が間に合わなかった場合、何らかの影響が周囲に及ぶのは必定であり、叱られるのも当然ですよね。
上記の例は、私が以前に参画したプロジェクトのシステム基盤チームで繰り広げられていたワンシーンです。このプロジェクトでは基幹システムの刷新に合わせてシステムインフラの見直しも行っており、システム監視の機能を持つ複数製品を調べて一番良さそうなものを導入しようと取り組んでいる最中でした。
普通は、代表的な製品を提供しているベンダーさんや取扱代理店から基本的な製品情報を提供してもらい、ある程度集まった段階で評価を行います。製品情報を集めて、比較検討の材料となる資料を作る程度なら2週間もあれば十分でしょう。予定工数が2週間の作業に1ヶ月も手間をかけていては課長が怒鳴りだすのも当然です。まず、Bさんは自分の作業を効率的に進めるための改善に取り組まなければなりません。
ここで、もうひとつ見落としてはならない重要なポイントがあります。怒鳴られた直接の原因はBさんの仕事の遅さによるものですが、それに輪をかけたのは、報告・連絡・相談(ほうれんそう)の不足でした。Bさんの仕事が遅かったとしても、作業開始から2週間経った時点でA課長に状況を報告していれば、ベンダーにもっと早く連絡することになったでしょうし、悩みどころも解決できたでしょう。結果として、作業も早く終えることができたはずです。