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ブロックチェーンを検討する経営者は防衛ではなく創造的破壊を望む――IBMがレポートを公開

 今回発表したレポートは、経営者を対象とした調査レポート「グローバル経営層スタディ」のシリーズの1つで、ブロックチェーンを使ってどのようにビジネスを運営し、収益を上げ、顧客、パートナー、競合他社を問わずどのように対応するつもりかについて、各業界の経営者を対象に実施したインタビューの結果に基づいてまとめている。調査は、IBMのInstitute for Business Value(IBV)が実施し、ブロックチェーンの実証実験、試験運用、実装のいずれかを積極的に進めている企業である「先駆者」と、現時点ではブロックチェーンを検討していない企業とを比較した。

 「先駆者」は、防御より創造的破壊を狙う傾向がある。これまで、ビジネス上の最大のリスクは、創造的破壊をもたらす新しい商品やサービスを提供する競合他社だったが、今やまったくビジネス・モデルの異なる非従来型の競合他社が既存企業の打倒を狙っている。「先駆者」は競争の仕組みを根本的に変えることによって、市場や業界に創造的破壊を起こそうとしている。そのため、調査対象となった経営層の一部は、ブロックチェーン・テクノロジーに対して、パートナー・エコシステム内での信頼性、説明責任、透明性を確立するために設計された新世代の取引用アプリケーションの開発を推進し、自社に競争上の優位性をもたらすことを期待している。

 新しいプラットフォームによるビジネス・モデルの構築は、消極的な企業には向いていない。実際、「先駆者」のCIOの10人中6人が、エコシステム全体で顧客とパートナーをつなぐブロックチェーン・プラットフォームを構築するための十分な体制が整っていないと認めている。

 また同時に、主な調査結果から次のようなことも判明している。

 ・調査対象となった各業界の経営者約3,000人のうち33%が、積極的にブロックチェーンに取り組んでいる、またはブロックチェーンの活用を検討している。

 ・「先駆者」の100%が、自社の戦略をブロックチェーンが何らかの形でサポートできることを期待しており、63%がブロックチェーンを取引の透明性向上に利用したいと考えている。

 ・「先駆者」の78%が、財務上の変化への対応または新しいビジネス・モデルの開発のいずれかに投資を行っている。

 ・ビジネス・モデルが脅かされている企業のうち「先駆者」の半数以上が、自社の業界または他社の業界内でまったく新しいビジネス・モデルを立ち上げるつもりである。

 ・ブロックチェーンを積極的に活用している経営者の71%が、ブロックチェーンの取り組みを推進するうえで業界コンソーシアムが重要だと考えている。

 ・ブロックチェーンを積極的に活用している経営者の78%が、ブロックチェーンの取り組みを推進するうえで顧客が重要だと考えている。

 ■多くの経営者がビジネス・モデルのイノベーションにブロックチェーンを活用

 ブロックチェーンの最大の戦略的優位性が、ビジネス・モデルのイノベーションを可能にしている。英国のある小売企業のCMOは、「現在ほとんどの企業が従っている一元的なビジネス・モデルに取って代わる可能性がある」と述べている。調査対象のどの「先駆者」も、新たな企業戦略をサポートするためにブロックチェーンを活用したいと考えている。

 また、ブロックチェーンによってバリュー・チェーンにわたる信頼性や透明性が高まることから、まだ予測もつかない方法で企業や個人がコラボレーションや競争を行うようになる。例えば、IBVが以前に実施した「Healthcare rallies for blockchains: Keeping patients at the center」スタディからも明らかなように、2017年、医療業界はブロックチェーンの採用を速いペースで推し進めている。すべてのバイタルサインやウェアラブルの健康データをブロックチェーンに保存できれば、ケアの質や調整が向上し、コストが低下するため、患者中心の医療やパーソナライズされた患者サービスへと移行できる可能性がある。

 ■コラボレーションへの道を開く

 新たな働き方を生み出すブロックチェーンは、企業が新たな方向へ進むきっかけにもなる。「先駆者」の10人中8人が、たとえ限られた範囲であっても競合他社と協業する習慣がないと答えたにもかかわらず、66%が新しいプラットフォーム・ベースのビジネス・モデルの実証実験または実装を進めている。

 双方向のエコシステムによって人、リソース、組織をつなぐことで、企業はまったく新しい形の価値を生み出せるようになる。例えば、各組織がマイクロペイメントをサポートして、仲介業者に支払う料金をなくすことや、各種メディアを作成者の直接の管理下に置くことが可能になり、グローバル・ライセンスや特許権使用料の支払いに関する課題を解決できる可能性もある。

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