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新しい発想は「オープンなチームの内部」から生まれる

(第16回) 

市場環境が、「同一製品カテゴリー内の類似な製品同士のシェア争い」をしていた時代から、「より独自性のあるイノベーションによって市場自体を創出する」ことが求められ時代へとシフトしたことにより、新しい価値や新しい発想を生み出す際の姿勢にも、変化が求められています。従来のように、組織の外にベストプラクティスや先行事例をみて自身の方向性を定めることはますます難しくなり、内部から新しい発想を生み出すしかない状況になっています。今回は、そうした変化について見ていこうと思います。今までの記事はこちら。

イノベーションのヒーローは外からやってくるか?内から生まれるか?

 イノベーションの実現を目指そうとする人のなかにも大きく分けて、2種類のタイプの人がいます。

 1つは、イノベーションにつながる発想を得るためには、「誰か特別に優れた人の考えに頼ることが必要」だと考えるタイプ。そして、もう1つは、イノベーションにつながる発想を得るには、とりたてて「特別な人の力を得なくても、ごくごく普通の人が集まってたがいに意見を交換すれば発想は得られる」と考えるタイプで、私自身はこの後者にあたります。

 前者が「自分たちの外からヒーローがやってくるのを待ち望むタイプ」だとすれば、私を含む後者は、ヒーローは外からやってくるものではなくて、むしろ「自分たち自身の内側からヒーロー的な何かが生まれてくることを目指して行動するタイプ」です。

図表1.新しい発想は、外側から?内側から?

 これは言い方を変えると、新しい発想は「外から来るものと信じる」か、「内側から生まれてくるものと信じる」かの違いかもしれません。

 そして、その場合でも、私は後者の立場です。

 私はこう思うのです。

 誰かが外から新しい発想を持ってきてくれるのだとしたら、確かに私たち自身はそれを新鮮に感じられるかもしれないが、持ってきた本人には既知であったという点ですこしも新しい発想ではない、と。単純に、自分たちが知らなかったことを外部の人が教えてくれたというだけです。

 残念ながら、外側にある自分たちが知らない目新しいものに誘惑されているだけでは、すでに実現したイノベーションを利用することはできても、自分たち自身でイノベーションを創出することはできません。目新しさはあくまで外側に求めるのではなく、内側から創り出す必要があります。

 だからこそ、内側から新しい発想を生み出せるようにするため、現在のイノベーション創出を目指す方法論の多くが、ワークショップの場を通じて共同作業を繰り返していく形式をとっているのです。

次のページ
ワークショップの手法は、「内側から新しい発想を生み出す」ために有効

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この記事の著者

棚橋弘季(タナハシヒロキ)

棚橋弘季(たなはしひろき) 株式会社ロフトワーク所属。イノベーションメーカー。デザイン思考やコ・デザイン、リーン・スタートアップなどの手法を用いてクライアント企業のイノベーション創出の支援を行う。ブログ「DESIGN IT! w/LOVE」。著書に『デザイン思考の仕事術』 など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/4747 2013/05/16 08:00

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