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マイクロソフト北川さんとお話

データベースの「コスト」はどこから来るのか?


前回の○×表については、多くの反響をいただきました。ちかいうちに後日談的な振り返りができればと思います。というわけで、○×表はいったんおいておいて、今回のテーマはデータベースのコストの話です。

北川さんが案内役を務めるDBオンラインDay、9/11(火)開催です。
参加費無料。お申し込みはこちら

まず、ライセンスのコスト

 ―前回は、○×表で比較することはナンセンスだという話でした。比較といえば、機能もそうですが、値段というのもかなり大きな要素だと思うんです。なので、前回からの延長ということで、今日はデータベースのコストの話ができればと思います。

複雑なデータベースのコストについてレクチャーする8月の北川さん
データベースのコストについてレクチャーする
8月の北川さん

 北川:データベースっていくら?という話をすれば、まずはライセンス料というものがあります。どこに課金するかによるのですが、マイクロソフトでは、サーバーに搭載されたプロセッサのコアに対して課金する「コア ベース ライセンス」と、接続するユーザーやデバイスに対して課金する CAL (Client Access License) をベースにした Server / CAL ライセンスとの2つがあります。

 ―CAL?カル?

 北川:カル。CAL。クライアント・アクセス・ライセンスの略です。サーバー、ソフトウェアを使用するユーザーまたはデバイスごとに必要となるライセンスです。

 ―SQL Serverは、サーバーライセンスと、CALですね。あとは、プロセッサのコアで買う方法がある、と。わかりました。大丈夫です。続けてください。

 北川:じゃあ次はオラクルを見てみましょう。オラクルは2通りの方法があります。「Processorライセンス」と「Named User Plusライセンス」です。

 Processorライセンスは、マイクロソフトの「コア ベース ライセンス」と同様に、サーバーに搭載されたプロセッサの計算能力に対して課金を行うものです。ただ、マイクロソフトとオラクルとでは、コアあたり必要な金額は違いますけど。

 Named User Plusライセンス (NUP) は、これは、ユーザー数で値段が決まります。サーバーのお金は取りません。その代わり、システムがあって、それを使うAさんBさんCさんがいた場合、1つのシステムにつき、使う人間の数だけユーザーライセンスを必要になります。そして、これに加えて、オプション代もかかります。

 ―オラクルのNamed User Plus (NUP) と、マイクロソフトのCALの違いはなんでしょうか?

 北川:比較が非常に難しいのですが、NUPはシステムごとに購入が必要です。システムA、B、Cがあった場合、それを使うのが1人でも、A用のNUP、B用のNUP、C用のNUPと、3つのNUPを買わなければならない。一方、CALは、システムA、B、Cがあった場合でも、必要なユーザーCALは1つになります。

 まとめると、NUPは、マイクロソフトのServer / CALにおけるServerライセンスが不要な分、CALと比較すると高額かつシステムごとに必要。CALは、Serverライセンスが必要だけど、CALは複数のシステムをカバーできる。全ユーザーがCALを持っていれば、サーバー導入を安価に行うことができる、というメリットがあります。

 ただ、今SQL Serverは Enterprise をServer / CALで販売していませんので、価格比較を行う上ではマイクロソフトの「コア ベース ライセンス」とオラクルの「Processor ライセンス」を比較する方がわかりやすいですね。

 ―だんだんややこしくなってきた・・・。携帯電話の料金体系のようですね。マイクロソフトはCALとコアベースライセンス、オラクルはNUPとProcessorライセンス。ほかのデータベースはどうなってるんですか?IBMとか、国産ベンダーとか、オープンソース系とかは?

 北川:DB2では「許可ユーザー」という形ですね*。こちらはオラクルのNamed User Plusに近いものです。HiRDB では「同時接続数ライセンス」という接続数に応じたライセンスになっています。PostgreSQLをベースにしたEnterpriseDBでは、ユーザー数ベースの価格はないようですね。

*追記:記事掲載後、某所よりご指摘いただきました。DB2は、許可ユーザーのほかにもいろいろな形式があるそう。とても複雑でややこしいそうなのですが・・・DB2のライセンス形態についてはこちらをご参照ください。(2012.8.28追記)

 ―どれがお得とかそういうことはあるんでしょうか。

 北川:比べにくいです。とても比べにくいです。

 ―比較できない、比べにくいが頻出しておりますが。先月の○×表じゃないけれど、簡単に比較できる問題ではないということでしょうか。

 北川:うーん。何が言いたいのかというと、最低いくらで買えますっていう値段を比較するとするじゃないですか。その値段で、高い安いって判断してはいけないわけですよ。次のシステムを入れる、システムを増やしていく・・・展開が進めば進むほど、初期投資の比較など関係なくなると思うんです。

 ―なるほど。はじめに買って終わりではない、と。

 北川:今、データベースっておしなべて統合を進めているような状況なんですけど、なかなか統合できないんですね。部門ごとに展開していくケースもおおいんです。これはデータベースの世界に限った話じゃないと思いますが、SQL Serverで言えば、たくさん買ってくれる人ほど安くなります。購入量と金額の問題です。どのレベルで「こっちが安い」というのか。

 ―たしかに、比べにくいですね。

 北川:価格がね、不透明なんですよ。僕らは、他社のデータベースを実際お客さんがどれくらいで買っているのかが全然わからないんですよ。

 ―全然わからないんですか。

 北川:導入を検討している時点で、他社がどれくらいの値段をいっていきているかはお客さんからそれとなく言われたりして推測できます。たとえば、同じ処理を可能にする構成でこっちは4千万、あっちはその5倍なんてこともある。

 ―全然違うじゃないですか。

 北川:たとえば、ですけど、こっちは4千万からさらに15%割引しました!って言って。そうするとあっちは50%割引にしたらしいと。実際いくらで売られているのかはわかんないです。

 ―ええ。安い方が売れるんじゃないんですか?

 北川:それは、難しい問題なのですが、たとえばユニクロの15%とプラダの50%、どっちがありがたいか、みたいな話があるじゃないですか(笑)

 ―ああ、わかるような、わからないような。なるほど。

次のページ
そして、サポートのコスト

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この記事の著者

小泉 真由子(編集部)(コイズミ マユコ)

情報セキュリティ専門誌編集を経て、2006年翔泳社に入社。エンタープライズITをテーマにイベント・ウェブコンテンツなどの企画制作を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/4169 2012/08/28 12:06

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