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SIerのビジネスモデルに風穴を!―国産PaaSのkintoneの進化

 クラウド市場では、Amazon Web ServicesのEC2やIBMのSoftLayerのようなIaaS(Infrastructure as a Service)が先行している。さらに大小さまざまなSaaS(Software as a Service)がこれに加わり、今後もクラウド市場はより拡大するだろう。そんな中、もう1つの主要なクラウドサービスがPaaS(Platform as a Service)だ。汎用的なインフラで何でもできるIaaSと、完成されたアプリケーションが提供されるSaaS。その間を埋めるのがクラウドの上で開発やカスタマイズを行い出来上がったアプリケーションをそこで実行できるPaaSだ。

プラグイン機能を追加し、より開発者に優しいPaaSに進化

栗山圭太氏
栗山圭太氏

 「そんなPaaSもすでに淘汰されつつあります」と語るのは、サイボウズ株式会社ビジネスマーケティング本部でkintoneのプロダクトマネージャーを担当している栗山圭太氏だ。どこからどこまでをPaaSに分類するかにもよるが、PaaSのプレイヤーはあまり多くない。現時点でもっとも成功しているPaaSはセールスフォース・ドットコムの「Force.com」だろう。独自のデータベースと独自の開発環境で自社のSaaSであるCRMやSFAにカスタマイズを施したりForce.comだけでネイティブにアプリケーションを構築したりすることも可能だ。

 Windows Azureも当初はPaaS的な面を打ち出していたが、現状ではIaaS的な側面のほうが色濃い。また新しいプレイヤーとしては、先日発表されたIBMの「BlueMix」もある。こちらは現時点でまだベータプログラムという位置づけながら、急激に認知度を高めている。

 そんな状況の中、国産PaaSとして奮闘しているのがサイボウズの「kintone」。2011年12月から提供を開始し、2014年3月時点で1,300社以上が利用するサービスへと成長している。クラウドらしく2、3ヶ月に1度の割合でアップデートを行って着実に機能拡張してきたこともあり、ここ最近「PaaSらしさ」が出てきた。

 最新の2014年6月のアップデートでは、プラグイン機能を追加しkintone上でのアプリケーション開発とメインテナンスの手間を削減している。従来までは1度構築したアプリケーションを他のユーザーが使おうとすれば、必要な複数のJavaScriptファイルを1つずつ読み込み、カスタマイズする際にはJavaScriptのファイルを適宜書き換えるなどの作業が必要だった。

 これがプラグイン化機能を追加したことでアプリケーションを構成する複数のJavaScriptをまとめて読み込み、必要なカスタマイズなどはGUI画面で設定することで容易に対応できるようになったのだ。

 「PaaSでのプラグイン的なアプリケーション提供に強いのはForce.comです」(栗山氏)と言うとおり、先行するForce.comにkintoneは機能的にも徐々に近づこうとしている様子がうかがえる。

kintoneプラグイン

 このようにkintoneがPaaSとして成長してきた背景には、裏側の仕組みの進化が大きいという。その進化に今、大きく影響を与えているのが「デベロッパーネットワーク」の存在だ。これは2014年4月に開設されたkintoneをプラットフォームとした開発をサポートするためのコミュニティサイトで、すでに460名の参加者がある。その中には16名の「kintoneエバンジェリスト」も生まれており、彼らが中心となり自主的な技術情報の交換とコミュニティ活動が展開されている。

 「kintoneについては、開発者向けにAPIの公開をしドキュメントも提供していますが、開発サポートのサービスをサイボウズとしては提供していません。今はコミュニティネットワークに質問するとボランティアが率先して答えてくれるという状況となっています」(栗山氏)

 前述のkintoneエバンジェリストらが中心となり「kintone cafe」という活動も始まった。各地で実際にJavaScriptを書いてkintoneアプリケーションを開発するための技術交換イベントも開催されている。「kintoneはForce.comにまだ追いついていないところがたくさんあります。だからこそエンジニアとしては今から関わっておきたい。kintoneは進化も速いので、それをキャッチアップすること自体が開発者としての価値になるというのもあるようです」と、栗山氏は開発者が自主的にコミュニティに参加する理由を説明する。こういった活動に参加しているエンジニアのモチベーションを高めるためにも、サイボウズではエバンジェリスト枠を特別に設け優先的にkintoneへのアップデート要望を受け入れる取り組みも始めている。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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