今年も12月に入った。マイナンバー通知カードがまだ手元に届いていない人がいる。さらには印刷漏れや配達トラブルなどの問題も発生している。とはいえ、今のところは予定通り2016年1月よりマイナンバーの利用が始まるということになっている。そんな中、政府が普及を推進しているのが「個人番号カード」だ。これは、従来の住民基本台帳カード(住基カード)に取って代わるもので、裏面にマイナンバーが記載されたカードだ。マイナンバーの将来的な活用範囲の広がりは、この個人番号カードの普及が前提ともいえる。新たに登場する個人番号カードとはどんなものなのか。日立コンサルティングの向賢一氏に話を訊いた。
住基カードと個人番号カードの違い

Q:まずは、個人番号カードとはどういうものなのでしょうか?
向:2016年1月から交付が始まるICチップの入ったカードです。住基カードとの最大の違いは、裏面にマイナンバーが記載されていることでしょう。そのため、表面はコピーできますが、裏面は本人がOKだと言ってもコピーは不可です。もちろん、法律でマイナンバーの業務利用を許可されている人が、その業務に利用する際はその限りではありません。
住基カードは各自治体が発行し、デザインもそれぞれ異なるものでした。顔写真を付けるかも任意。今回の個人番号カードは、顔写真入りでデザインも統一されています。政府は、とにかくこの個人番号カードを取得してもらいたい。そのため申請の方法も増やしています。
住基カードの際には自治体の窓口に申請に行き、できあがったらそれを取りに行くので2回役所の窓口を訪問しなければなりませんでした。今回はマイナンバーの通知カードと一緒に申請書が同封されていたので、これを使って郵送で申し込めます。カードができあがったら1回だけ役所の窓口に取りに行けばいいのです。申請書にあるQRコードから、申請用のWebページにアクセスしスマートフォンで顔写真を撮って申請することもできます。他にも、街中にある証明写真機「Ki-Re-i」からも申請できます。
この他にも、会社で一括申請し職場で受け取る方法もあります。さらに今回は、無料で交付するのも普及を進めるポイントとなるでしょう。
もう1つ住基カードと違うのが、ICチップの中身です。「公的個人認証アプリケーション」がICチップには入っていて、ここには住基カードと同じ「署名用電子証明書」が入っています。これは従来通りe-Taxなどで申告をする際に利用できます。個人番号カードにはもう1つ、「利用者証明用の電子証明書」も入っています。この利用者証明用の電子証明書を使うには許可が必要です。この公的個人認証アプリケーションの中身と利用については、カードに記載されるマイナンバーとは全く別の話となります。
ICチップには他にも券面の画像データを格納している「券面事項確認アプリケーション」、券面のテキストデータを格納している「券面事項入力補助アプリケーション」があります。これらの情報には、マイナンバーが含まれることになります。この他には住基コードを格納している「住基ネットアプリケーション」が入っています。さらに空き領域については、各自治体が条例を定めることで施設利用予約などで使える予定です。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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