ブランド変更の意図について、アクロニス・ジャパン代表取締役の村上督氏は、「機能や性能といった製品の価値を訴えるだけではなく、中堅企業のデータ保護に向けたバックアップソリューションを提供するベンダーとの位置づけを明確にした。また、どれを選んでいいか分かりにくいという声にこたえた」と説明した。
コンシューマPCのイメージバックアップ製品の提供からスタートした同社は、その後、サーバ環境や仮想環境への対応、異種混在環境への対応を進め、近年では、バックアップ&リカバリだけでなく、ディザスタリカバリや仮想化環境の保護、移行ツールなどを提供するベンダーとしての認知度が広がってきていた。
なかでもP2VやV2V分野では、仮想環境やクラウド環境への移行ツールとして人気になっていたという。移行にあたっては、仮想ディスクの変換が必要になるが、ハイパーバイザーの標準ツールは変換に失敗することがあるに対し、同社製品は失敗が少ないことが評価の理由とのこと。
また、ユニバーサルリストア(Universal Restrore)と呼ぶバックアップしたイメージを異なるハイパーバイザーのディスクにリストアする機能や、マイクロソフトのExchange ServerやSQL Server、SharePoint、Active Directoryなどのアプリケーションをアプリケーション単位でバックアップする機能がよく利用されていたという。
村上氏は、これまでの同社製品の変遷について「Protect」「Move」「Store & Manage」という流れで発展してきたとし、今後は「AnyData」というコンセプトで取り組んでいくとした。AnyDataというのは、「保護や移行、災対サイトへの保管や仮想環境の管理だけでなく、マルチハイパーバイザ、マルチクラウド間マイグレーションなど、あらゆる環境、あらゆる場所、あらゆるポリシー、あらゆるアプリケーション、あらゆるマイグレーションをサポートしていくもの」だという。
ブランド変更や製品の詳細については、リージョナル プロダクト マネジャーの古舘與章氏が説明した。同社の製品群は、大きく、PCやワークステーションにインストールする「スタンドアロン」、ネットワーク上のワークステーションやサーバにインストールして集中管理する「アドバンスト(集中管理)」、仮想化環境(各ハイパーバイザー)向け「Virtual Edition」の3つがある。
それぞれのラインアップに変更はなく、たとえば、スタンドアロンのWindows Server向け製品「Acronis Backup & Recovery 11.5 Server for Windows」は「Acronis Backup for Windows Server」となる。また、vSphere向けVirtual Editionの「Acronis Backup & Recovery 11.5 Virtual Edition for VMware vSphere」は「Acronis Backup Advanced for VMware」となる。
変更ポイントとしては、まずスタンドアロンでは、従来有償オプションだったUniversal Restroreが標準搭載(無償)になった。また、集中管理では、従来有償オプションだったUniversal Restroreと「Deduplication」(重複除外)が標準搭載になった。Virtual Editionでは、Deduplicationとマイクロソフトのアプリケーションバックアップが標準機能になったことがある。なお、小規模のvSphere環境(ホスト2~3台、ゲスト3~10台/1ホスト)向けに提供していた「vmProtect 9」は、「Acronis Backup for VMware」に変更された。
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