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東急ハンズ長谷川流 IT戦略思考法

自社の競争力を支える部分こそ「自社開発」で作る--東急ハンズ長谷川秀樹氏に訊く(第3回) 


 「ヒント・マーケット」というコンセプトを打ち出し、V字回復を果たした「東急ハンズ」。その裏側には、ユニークで型破りな戦略思考と情報システム部門の抜本的な改革があった。果たして「東急ハンズ」改革の一翼を担ったIT施策とはどのようなものだったのか。キーマンである長谷川秀樹氏へのインタビューを紹介する。第3回は、システム全体を短期間で総入れ替えするために行った施策について聞いた。(前回の記事はこちら)

コストで選んだ「パッケージと自社開発」のハイブリッド

――「全部やる」と決めてから、スケジュールから見て、SIerに依頼するのが現実解ではないとなったとき、誰が実作業を担うのか、どのように検討したのですか。

株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長 ハンズラボ株式会社 代表取締役社長 長谷川秀樹氏

▲長谷川 秀樹氏 
株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長
ハンズラボ株式会社 代表取締役社長

 期間の問題もさることながら、当時は売上が厳しい時期でしたから、やはり一番の懸念は「コスト」でした。SIerさんにお願いすると、当然ながらそれなりの価格になり、期待していたコスト削減効果はほとんど得られませんでした。それはそうですよね、これまでお支払いしていたお金よりも安価に提供することになれば、SIerさんにとっては結果としてマイナスになります。「予算がない」と伝えていても、現在の費用を支払っているという実績はあるわけですから、クライアントの想定予算を考えて見積もりを組み上げるのが自然でしょう。

  普通なら「運用費を変えずに、機能性や効率性が向上する」なら、という考えがちですが、とにかく当時はお金がなかったので、初期はもちろんランニングコストも安価にする方法を考えました。そこで出した最終的な結論は「パッケージ」と「自社開発」のハイブリッドモデルです。

――その線引きはどのような基準で行われたのですか。  

 まず会計や人事システム、そしてメールを含めたグループウェアなどバックオフィスシステムは、外部ベンダーの「パッケージ」を使うことにしました。自社の競争力に直結せず、商習慣や法制度など「世の中のルール」に従っているべき部分ですから、それに合わせましょうと。さらに、ルールが変わったら柔軟に対応する必要がありますから、特殊なカスタマイズなどを施すのではなく、スタンダードなままで使うことにしました。現在の業務との差異があるなら、業務がパッケージに合わせるということにしたわけです。

▲自社開発チーム立ち上げ背景 出所:東急ハンズラボ社の資料を元に作図

 パッケージのセレクトとしては、まずは安いこと。この「安価な」というのが大切で、高価なパッケージほど面倒なものはないと思っています。普通なら、どんな商品も、高価なものの方が使い勝手がいいのが普通です。しかし、安いパッケージは買ってきて一人で動かせるにも関わらず、高いパッケージは様々な手順が複雑で一人で扱うことはまずできない。やる機能はほぼ同じなのにも関わらず、面倒臭さが段違いなのです。

 人事や会計などについては、タイヤとボディとハンドル程度で「とりあえず快適に乗れるミニバン」みたいなものでいいのに、それぞれチューニングが細かく必要なスポーツカーのようなものをプロを雇って無理やり乗りこなしている。そんな状況になっている会社も少なくはないのでしょうか。  

 なお、パッケージについては1社にロックインするのではなく、できるだけ複数社で競争させたいもの。パッケージ費用よりも構築費用が高いので、先にパッケージ製品を選び、その構築の請け負い先として複数のSIerに提案をさせるとよいでしょう。同じ製品なら優越も判断しやすくなります。

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異例とされるも“必然”だったクラウドへの移行開始

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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