
「IoTが流行っているのはわかったけど、それをビジネスに生かすためには何をするべきなの?」という疑問をよく聞くようになってきました。IoT(Internet of Things)というキーワード自体は、社会に浸透してきています。しかし、IoTを活かしてビジネスモデル変革に成功している企業は、現時点では少ないようです。モノから集めたデータの可視化や分析を始めている企業は増えていますが、その仕組みをビジネスに寄与させるためには異なるアプローチの取り組みが求められます。今回は、IoTでビジネスモデル変革を成功している企業の共通点や法則について考えていきます。
IoTで重要なのは、むしろ”モノ以外”の動き
IoTは日本語では「モノのインターネット」といって”モノ”に着目されがちですが、ビジネスへの寄与を考えるときに着目すべきなのは、むしろ”モノ以外”の部分です。
ビジネスモデルとは、儲けを得るためのヒト・モノ・カネ・情報の動きと捉えることができます。ここでモノだけがインターネットに接続して進化したところで、残りのモノ以外の部分 ――つまりヒト・カネ・情報の動きが変わらなければ、ビジネスモデルは変わりません。

図 1:モノだけでなく、ヒト・カネ・情報にも着目
IoTでビジネスモデル変革に成功している数少ない企業には、IoTを活かしてモノを進化させるのと同時に、ヒト・カネ・情報の動きも進化させているという共通点があります。
ヒトの動きを変えるためにサービスやセールスの現場スタッフにIoTのデータを届けること、カネの動きを変えるために基幹システムにIoTを組み込むこと、情報の動きを変えて自社内だけでなく顧客までをIoTとつなげること、これらはIoTによるビジネスモデル変革を成功させる法則といえます。
まず、ヒト・カネ・情報、それぞれの進化を3つの成功の法則としてみていきます。1つ目は、「ヒトの動きの進化」です。
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安田 航(ヤスダ ワタル)
NTTテクノクロス株式会社 EAストラテジスト
NTTソフトウェア入社(現社名、NTTテクノクロス)以来、エンジニア、ITコンサルタントとして活動。EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)手法を駆使したIT戦略/グランドデザインの策定と推進に多数の実績を持つ。日本企業の縦割り的な情報システムの考え方に...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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