2025年5月12日、キリンホールディングスは、キリングループの生成AIツール「BuddyAI」を国内従業員約1万5,000人に展開を拡大すると発表した。同取り組みによる全体での時間創出は、年間で約31万時間を見込んでいるという。
同社は、2024年11月にマーケティング部門の従業員約400名を対象に「BuddyAI for Marketing」を先行導入。同先行取り組みは、年間で約2万9000時間の時間創出を見込んでいたが、機能改良やユーザー教育が進んだ結果、約3万9000時間の時間創出効果が得られる見込みだとしている。
先行導入の結果を受けて、国内従業員への展開拡大においては、より使いやすいUI/UXの開発やプロンプトテンプレートの改良といった機能面の拡充を行ったという。また、BuddyAIを使用する全従業員を対象としたeラーニングの導入や、2021年から取り組んでいる「DX道場」での生成AI関連講座の拡充などを通じて、従業員の習熟度に応じた研修も行うことで、ビジネス現場での日常的な活用を促していくとのことだ。

今後は、各部門(マーケティング・営業・研究開発など)の業務に必要な機能を順次追加搭載していくという。各部門は、「Select & Fit」構想のもとで、「BuddyAI for X(Marketing・Sales・R&Dなど)」の部門別の特化を進めていくとのことだ。将来的には、BuddyAIに業務を任せるだけで、BuddyAIがタスクを分解・実行し、レポートまで行うAgentic AI実現を目指すとしている。

なお、先行導入しているマーケティング部門においては、導入初月から60%を超える利用率を獲得。当初は約15種類だったプロンプトテンプレートは100種類以上に拡充し、Web検索機能のセキュリティ強化も施しているという。また、Select & Fit構想に基づき、全社展開に先駆けてBuddyAI for Marketingにおいて、今後搭載される予定の部門特化機能の先行開発が進んでいるとのことだ。

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