東芝グループは、AI需要などにより急拡大するデータセンター(DC)向けビジネスについて、一連のバリューチェーン全体に対応したソリューションを提供するため、専任組織を設置し、ビジネスを強化すると発表した。DC設立の計画の段階から、設計、機器・資材提供、建設工事施工、設立後の運営、DCを利用したXaaS(ザーズ、X as a Serviceの略、あらゆるモノをサービスとして提供)に至るまで、東芝グループが持つ関連事業を連携させ既存の事業範囲から拡大することを目指す。
5月1日付で、新たに「DC事業推進室」を設置。企画や営業・技術機能を集約し、東芝グループとしてワンストップでDCに関するソリューションを提案する窓口になるという。今後、DC事業推進室の人員を増加し、リソースを強化していくとのことだ。
また、建設工事施工強化のために、東芝グループでインフラ関連設備などの企画・設計などのエンジニアリングから調達、施工、フィールドサービスまでを一貫して行う東芝プラントシステムが、7月1日付でDC向けビジネスに対応する専任の組織として「データセンターインフラ推進室」を立ち上げ。DC事業推進室の下で関連する事業部やグループ会社が協力し、グループ横断でDC向けビジネスの強化に取り組むとしている。
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DCに係る一連のバリューチェーン全体に対応したソリューションをワンストップで提供
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DC向けビジネス強化のポイント
- 東芝プラントシステムは、DCに必要な設備のEPCC(Engineering、Procurement、Construction、Commissioning)機能を提供している企業。DCに必要な設備を東芝グループ内外から柔軟に調達し包括的な施工を請け負う。また、エンジニアをはじめとする一般的な建設リソースの不足に鑑み、東芝グループ内外のパートナーとの協働も推進していくという
- 東芝グループ内の各事業が個別に提供していたDC向けの関連機器・資材を組み合わせ、新設・既設を問わず省エネ、高付加価値を提供。たとえば、東芝の二次電池「SCiB」を搭載したUPS(無停電電源装置)を活用し、VPP(バーチャルパワープラント)を用いて余剰電力を調整電力として活用することや、東芝エネルギーシステムズのデジタルプラットフォーム「TOSHIBA SPINEX for Energy」による効率的なエネルギーマネジメントを提供するなど、個々の製品・サービスの強みを組み合わせることで、カーボンニュートラルの実現に貢献できるソリューションとして提案するという
- 再エネ・蓄電池のアグリゲーションサービスにより、独自の需要予測・発電量予測・価格予測技術と最適なトレーディング技術を活かして、DCの電力需要カーブに応じた再エネの長期安定的な調達を支援。蓄電池を制御し、風力や太陽光の変動性を抑えることにより、系統にも負担の少ない供給が可能になるとしている
- これまで発電設備・送変電設備を提供してきた電力会社、再エネ事業者との強固な関係や、ハイパースケーラーと呼ばれる大規模なDC運営事業者にHDD(ハードディスクドライブ)などを供給してきた実績をもとに、DCを設立する側、利用する側のニーズを踏まえて建設、運営の支援を行うという
- モジュール・ユニット型DCについて、新たに設計、製造、施工、保守までを一気通貫したサービスの検討を開始
- DC間におけるデータ連携を中心としたXaaSを視野に、DC利用者の付加価値を拡大するサービスも提案
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