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富士フイルムグループ、1,000件超のAIエージェントが稼働 AIコーチングによる人材育成も

 

 富士フイルムホールディングスは9月10日、2025年度DX記者説明会を開催。会見では、同社のDXが「ビジネスモデル変革」「業務変革」「人材育成・活用」「デジタル基盤構築」の4つの柱で構成されること、そしてその中核を担うAI活用と人材育成の取り組みが紹介された。

 富士フイルムグループは、グループパーパスである「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」という目標の実現に向け、DXビジョンを策定している。このビジョンは、イノベーティブな顧客体験の創出と社会課題の解決、新たなビジネスモデルの創出と生産性の向上を目指すものであり、これらを支えるのがDX基盤であると、執行役員 CDO の杉本征剛氏は説明した。

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富士フイルムホールディングス株式会社 執行役員 CDO ICT戦略部長 杉本征剛氏

 DX推進体制は、CEOを議長とするグループ横断の「DX戦略会議」が主導し、事業部門の実行を、コーポレート部門およびICT戦略部やインフォマティクスラボ、AI-CoEが支援する。さらにはボトムアップ活動として、デジタル変革委員会やDX実践者コミュニティも運営しているとした。

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 DXにおけるAIの位置付けについて、杉本氏はAIがDXの中心的なドライバーになりつつあると述べ、「人間中心」「目的重視」の方針に基づき、AI技術の使い分けや組み合わせを進めていると強調する。特に、2024年から全社展開している内製開発したチャット型生成AI「Fujifilm AIChat」は、2025年6月にグローバル7万人に展開完了し、月間アクティブユーザー数が2.1万人を超えているとした。翻訳や校正、経理、知財といった専門業務を含む多岐にわたる業務で効率化を実現しており、年間で約40万時間の業務時間削減を見込んでいるという。

 さらに、7月に国内で展開を開始したエージェント型生成AI「Fujifilm AI Hub」については、既に1,000件を超えるエージェントが稼働していると明かした。このプラットフォームでは、非IT部門を含む一般従業員が自らの目的に合わせてAIエージェントを作成し、組織内で共有できる仕組みを構築している。年度内にはグローバルへの展開も完了見込みという。

 DXを支える人材育成戦略もまた、重要な柱として位置付けられている。富士フイルムグループは、DXビジョン実現に必要な人材を「ハイブリッド人材」「DX活用人材」「IT専門人材」の3つの類型に整理し、育成を強化している。中でも、事業部門から選抜されたDX推進リーダーであるハイブリッド人材は、事業領域のビジネススキルとITスキルを兼ね備え、デジタルを前提とした新たなビジネスモデルや業務変革を牽引する役割を担う。全社員を対象とするDX活用人材は、ツールやデータを活用して業務を効率化し、より創造的な業務に取り組むことを目指す。同社はDX人材の可視化と育成のため、経済産業省やIPAが定める「デジタルスキル標準(DSS-P)」を採用し、AIを活用したコーチングシステムの導入も検討していると述べた。

 杉本氏は、AIコーチングシステムについて、将来的には全従業員に展開していきたいとの意向を示した。このシステムは、従業員一人ひとりのスキルを可視化し、目指す人物像とのギャップを明確にすることで、不足しているスキルや取り組むべき研修をAIがレコメンドするもの。これにより、膨大な研修メニューの中から最適な学習パスを提示し、個人の教育を最適化することが最大のメリットであると語った。

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 会見では、AIガバナンスについても言及された。富士フイルムグループは、CEO直下の組織である「AI CoE」を中心に、ESGや法務といった部門と連携し、グローバルでAIガバナンス体制を構築している。2020年に定めたAI基本方針に基づき、技術進化に合わせた規定の整備やユーザー教育を推進し、生成AIの製品搭載に向けたガイドラインも既に制定済みであるとした。

 AIの活用はコーポレート領域に留まらず、各事業部門でも積極的に進められている。杉本氏は、AIを活用した新規化学物質の「毒性予測システム」を紹介した。このシステムにより、社内での安全性評価業務において動物実験の廃止を実現し、試験にかかる工数を従来の10分の1にまで短縮できるという。公開情報や研究者の専門知識に基づく「知識型AIモデル」と、過去の試験データに基づく「機械学習型AIモデル」という2つの異なるAIモデルと、長年蓄積された知見を組み合わせることで、幅広い化学物質のリスク予測を可能にした。今後はOECDテストガイドラインへの収載による国際的な評価基準としての認定を目指す方針だ。

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 また、メディカルシステム事業におけるAIの取り組みについて、富士フイルム 執行役員の桝本潤氏が登壇し、2018年にAI技術ブランド「ReiLI(レイリ)」立ち上げ以降、医療画像領域からAI開発を開始し、適用範囲を拡大してきたことを説明。医用画像領域では、高画質化、臓器セグメンテーション、コンピュータ支援診断などのAI技術を開発し、「SYNAPSE SAI viewer」や「SYNAPSE SAI Report」といった製品に搭載している。特に注目すべきは、独自の自然言語処理技術「読影レポート構造化AI」である。これは、医師の読影レポートをAIが解析し、所見用語の抽出、事実性の判定、用語間の関係性解釈を3段階で行い、構造化されたデータに変換する技術だ。これにより、放射線科医の知識を構造化して保存し、将来のDX化の原資として活用することを目指しているという。

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富士フイルム株式会社 執行役員 イメージング・インフォマティクスラボ 副ラボ長

兼 メディカルシステム開発センター IT開発グループ長 兼 画像研究グループ長 桝本潤氏

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この記事の著者

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

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