日本オラクルは3月3日、コロナ禍による財務管理の変化と、財務とロボット・人工知能(AI)との関係について日本の調査結果を公表した。本調査は、オラクルとファーヌーシュ・トラビ(Farnoosh Torabi)氏が共同で実施し、日本の500人を含む14カ国(米国、英国、ドイツ、オランダ、フランス、中国、インド、オーストラリア、ブラジル、日本、UAE、シンガポール、メキシコ、サウジアラビア)、約9,000人の一般消費者と企業・団体の管理職以上を対象に行ったという。
調査結果の概要
調査対象の企業・団体の管理職の94%は、自社の財務部門以上に財務管理にロボット・AIを信頼すると回答している。同設問に対する14カ国の平均の回答は77%で、日本はロボット・AIに高い信頼を寄せていることが判明したという。
また、実際に財務管理にロボット・AIの活用を行っているかという設問では、14カ国の平均の回答では、企業・団体の51%が活用を行っているとした一方、日本では27%に留まり最下位となった。結果として、日本はロボット・AIへの高い信頼を示す一方で、実際にはAIの導入が進んでいないという実態が明らかになっている。
コロナ禍で生み出された経済的な不安
- パンデミック以前と比較して、財務管理の不安とストレスは、企業・団体の管理職の間で、122%増加
- 企業・団体の管理職の95%は、組織に対するコロナの影響を憂慮しており、最も共通した懸念は、低速な経済回復または景気後退(62%)、予算縮減(31%)、倒産(27%)となった
財務管理のための最善の方法としてロボット・AIに期待
- 企業・団体の管理職の94%は、財務管理で自社の財務部門以上にロボット・AIを信頼すると回答している(14カ国の平均は77%)
- また、85%の企業・団体の管理職は、ロボット・AIが業務を改善できると考えているという。これには、不正の検出(33%)、請求書の作成(27%)、コスト・利益の分析(18%)などが含まれる
以前の状態に戻ることはない財務部門の役割
- 55%の企業・団体の管理職は、今後5年以内にロボット・AIが財務担当者の役割を担うと考えている
- 83%の企業・団体の管理職は、財務管理の支援をロボット・AIから受けたいという。これには、予算編成と予測(45%)、レポート(35%)、コンプライアンスとリスク管理(31%)、財務承認(27%)が含まれる
- 今後、企業・団体の管理職が財務担当者に注力してほしいことは、顧客とのコミュニケーション(57%)、値引き交渉(43%)、取引の承認(27%)などという
財務管理にAIを活用する時代の到来
- コロナ禍への対応として、企業・団体の管理職の41%はデジタル決済機能に投資していると回答している。また、企業・団体の管理職の38%は新しい顧客エンゲージメントの方法を創出、または、ビジネス・モデルを変更したと回答しているが、日本は14カ国中最下位だったという。14カ国平均では、69%がデジタル決済機能に投資し、64%が新しい顧客エンゲージメントの方法を創出した、または、ビジネス・モデルを変更したと回答している。
- 14カ国の平均では、企業・団体の51%がすでにロボット・AIを活用して財務管理を行っていると回答している一方、日本では27%と14カ国中最下位となった
- 企業・団体の管理職の81%は、財務プロセスを見直さない組織はリスクに直面すると回答している。これには、従業員の生産性の低下(32%)、競合他社からの遅れ(31%)、不正確なレポート(29%)、従業員のストレス増加(23%)が含まれる
- 日本企業では、調査対象の14カ国と比較して、財務管理においてロボット・AIを信頼している一方で、AIの活用が進んでおらず、コロナ禍への対応としてデジタル化や事業変革などへの取り組みが遅れていることが明らかになった
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