東京大学とIBMは、将来の量子コンピューター技術の研究・開発を行うハードウェア・テストセンター「The University of Tokyo – IBM Quantum Hardware Test Center」を東京大学 浅野キャンパス内に開設。同センターに量子コンピューターのコンポーネントの試験用に構築した、量子システム・テストベッドを設置したことを発表した。
本テストセンターの開設は、昨年12月に両者で発表した「Japan–IBM Quantum Partnership 」に基づくもので、本パートナーシップの3つの主要な部分の1つだとしている。パートナーシップの他の部分には、量子理論に関する両者の共同研究、ソフトウェア開発、および教育が含まれ、量子コンピューターの研究・開発を進めるための日本の産学連携プログラムと位置付けているという。
また、広範なパートナーシップの一環として、IBMは、量子情報科学とアプリケーションの進歩を目指す産業界および学界のユーザー向けに、日本初のゲート型商用量子コンピューティング・システム「IBM Quantum System One」を川崎市に設置することを表明している。
両者は、本テストセンターを通じて日本の参加企業や団体に量子システム・テストベッドへのアクセスを提供。量子コンピューターの将来のアプリケーション活用に不可欠な、高度な極低温マイクロ波コンポーネントとサブシステムおよび制御エレクトロニクスや、超伝導量子ビットを安定的に動作させるために必要な材料、高品質な信号伝送に必要な高周波部品や配線といった技術の研究開発を行うという。
また、極低温を実現するために必要な冷凍機やコンプレッサー、それらの制御技術も研究。6月1日付で仙場浩一氏が東京大学大学院理学系研究科に特任教授として着任し、東京大学のみならず材料・部材・機器メーカーとも協業して、将来の量子コンピューターに必要な研究開発を実施・牽引するとしている。
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