米現地時間7月28日、Gartnerは、2021年の世界の製造業に影響を与えるビジネス・トレンドのトップ5を発表した。CIOは、以下の5つの戦略的ビジネス・トレンドを利用して、トップラインの成長を向上させることができるとしている。
トレンド1:デジタル+プロダクト・エクスペリエンス
デジタル+プロダクト・エクスペリエンスは、B2Bの顧客や消費者にユニークな製品(プロダクト)を提供するために物理的なプロダクトとデジタル・サービスを組み合わせたものを指すという。デジタルとプロダクトの組み合わせは、消費者の期待に応える魅力的なプラットフォームを提供するという課題に取り組むことを目的としている。これは、単なるサービスの追加ではなく、他の顧客、先進的なユーザーと自社ブランド、さらにブランド・エキスパートとのつながりを深め、メーカーがプロダクトの販売を超えて消費者とのつながりを維持できる、新しいデジタル・ビジネスモデルを意味するという。
Gartnerは、「2025年までに、消費財メーカーのトップ50社がプロダクトに組み込まれたテクノロジ、デジタル資産としての動画、またはITおよびR&Dチームとの統合イノベーションによる人工知能(AI)を活用したブランド・アプリに投資する」との仮説を立てている。
トレンド2:トータル・エクスペリエンス
トータル・エクスペリエンスとは、CIOが顧客と従業員の両方を強化し、力を与え、勇気付けて、生涯価値を向上させるために、テクノロジやインタラクションをどのように使うかに関することだという。このアプローチでは、CIOは顧客、パートナー、従業員を結び付ける適切なプラットフォームを特定。従業員がブランド・エキスパートとして、あるいは消費者に対する顧客サービス・エージェントとして、質問に回答することなどが挙げられるという。
Gartnerは、「2024年までに、トータル・エクスペリエンスを提供する企業は、競合他社を25%上回るカスタマー・エクスペリエンスおよび従業員エクスペリエンスの満足度評価指標を達成する」との仮説を立てている。
トレンド3:エコシステム・パートナーシップ
製造業では、エコシステム・パートナーシップを活用することで、地球に優しいパッケージング、開発途上地域やサービスが行き届いていない地域への支援、リモートワークによるCO2排出削減など、あらゆる種類の取り組みが可能になるという。
Gartnerは、「2024年までに、世界の消費財メーカー上位20社のうち75%が、成長と持続可能性の目標に貢献するエコシステム・パートナーシップに参加する」との仮説を立てている。
トレンド4:データ・マネタイゼーション(収益化)
製造業のCIOは、データ・マネタイゼーションにより、プロダクトやサービスのデジタル化から収益を得ることができるという。製造業の組織内での急速なデジタル化は、大量のデータを産出。CIOはこのデータをエコシステム全体で共有し、マネタイズすることができるとしている。このアプローチを用いることで、CIOは情報を資産として活用し、新たなサービスを生み出したり、新たなビジネスモデルに参入できるという。これにより、サプライチェーンの課題や人材不足などの外的要因によって事業が中断された場合でも、継続的な収益の確保が可能になるとしている。
Gartnerは、「2024年末までに、世界の半数の重工メーカーがデータ・マネタイゼーションに成功する」との仮説を立てている。
トレンド5:サービスとしての機器(EaaS:Equipment as a Service)
サービスとしての機器(EaaS)とは、企業が機器を購入するのではなく、運用資産に対して定期的な運用料金を支払う商取引モデル。このモデルでは、CIOは一般的なIoT(モノのインターネット)デザイン・パターンや業界のフレームワークを活用した組み込み型IoTのテクノロジを使用して資産の有効性を確保し、有効に稼働していない資産に対する解決策を見つけることができるという。
Gartnerは、「2023年までに産業機器メーカーの20%が、産業用IoTのリモート機能を備えたEaaSをサポートするようになる」との仮説を立てている(現在は、ほぼ0%)。
アナリストでバイス プレジデントのミシェル・デュアスト(Michelle Duerst)は、「多くの製造業にとって、世界的なパンデミックに対する最初の対応は、可能な限り早く業務をデジタル化することでした。デジタル化は正しい道筋ですが、それだけでは十分ではありません。製造業のCIOが長期的に見て将来の同様のディスラプションに備え、顧客との接点の欠如、新しい市場や製品ラインへの参入、財務的な苦境などの課題を改善する上で、Gartnerが明らかにしたトレンドは役立ちます」と述べている。
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