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週刊DBオンライン 谷川耕一

コンテンツマネージメントの将来像/確実に届けたいメールはそれなりの方法で


 先週の記事でも触れたが、企業内のコンテンツマネージメント、ナレッジ共有の領域は、いまひとつ進展していないようだ。むしろ後退している面もあると、ITRの発表では言っていたっけ。一方で、企業内SNSのように、従来のコンテンツマネージメント・システムやナレッジマネージメント・システムよりも緩やかというか、カジュアルに情報を共有するシステムは、むしろ台頭してきているように思う。クラウドかオンプレミスかに関わらず、新しいアプリケーションのユーザー・インターフェイスのほとんどが、facebook画面風だというところからも、その片鱗はうかがえる。そう考えると、社内のコンテンツマネージメントやナレッジ共有は後退したのではなく、新たな形へと進化しつつあるのかもしれない。

コンテンツマネージメントの将来像

 一方で、社外向け情報発信のためのコンテンツマネージメント・システムは、確実に定着しつつあるように思う。いまどき、静的なHTMLを手で作って、日々Webページを更新しているとところは少ないだろう。ブログ用としてではなくコンテンツ管理のためにMoveable TypeやWordPressを利用している例もよく耳にするし、Oracleなどのエンタープライズ・ソフトウェアベンダーもかなり機能豊富なコンテンツマネージメント・システムを提供している。

アシスト 代表取締役社長 大塚辰男氏
アシスト 代表取締役社長 大塚辰男氏

 そんな中、アシストが国内のコンテンツマネージメント・システムの新製品「NOREN6」を発表した。正確に言えば、来年1月に「株式会社のれん」を発足し、同時に新バージョン「NOREN6」の提供を開始すると発表した。会社まで新たに興し、この製品に力を入れる理由として「Web市場は伸びています。通常のIT市場より素早いペースで伸びています。それに対応するために意思決定を迅速にし、小回りのきく体制が必要だと考えました。それを提供することで、顧客満足度の向上を目指します」とアシスト 代表取締役社長 大塚辰男氏は言う。

 NORENの開発元は、韓国のI-ON Communications社。「韓国では7割のシェアがある製品です」と、今回の発表に合わせ来日したI-ON Communications代表取締役社長のオ ヂェチョル氏は言う。そしてアシストとの協業で「日本で5割以上のシェアをとっていきたい」と強気の発言を行った。そのためには顧客に対し意思決定を早くし、早めに対応するのは重要。のれんの発足が、それを強力にサポートすることになるわけだ。

 体制整備だけでなく、NOREN6では製品そのものの進化もある。従来、コンテンツマネージメント・システムは、社内にある情報をWeb用に効率的にHTML化するツールだった。今回のNOREN6では、そのようなHTML化という一方通行のツールではなく、情報のハブとなるプラットフォームへと進化している。NORENでは、手作業で入力したデータだけでなくデータベースやCSV、XML形式のデータも取り込むことができる。さらに登録されたデータをデータベースやCSV、XML、HTMLへと、さまざまなデータ形式で出力する。これにより、Webページを作るだけでなく、メールマガジンのコンテンツを出力することもでき、タブレットなどのさまざまなデバイスにも容易に対応できる。また、出力結果を、社内のデータベースに戻すといったことも可能だ。

 さらにNOREN6では、静的、動的なコンテンツをハイブリッドに管理できるようにもなった。これにより、アクセスしてきている人の属性や、それまでの閲覧履歴などをもとに、最適なコンテンツをリアルタイムに切り替えて表示できる。すべて動的なコンテンツにしてしまうとレスポンスが十分でなくなる可能性もあるが、静的なコンテンツとうまく組み合わせることで、その課題にも対処できるとのこと。ちなみに、最適なコンテンツを推奨するリコメンドエンジンは、NORENの内部に持つのではなくすでに実績ある他社製品などと連携して利用する。

 また、よりエンタープライズ向けの機能として、モジュールごとにサーバーを分散できるようにもなった。これにより、負荷の高いモジュール処理を行うサーバーを別に立てることが可能となり、負荷を分散できるようになった。クラウド化、仮想化に対処するにも、このモジュールを分散できる機能は有効となる。

 NORENは、すでに国内500社以上の企業が採用している。新たに発足するのれんでは、今後3年間でさらに360社の採用増を目指す。NORENのようなコンテンツマネージメント・システムが企業において導入される理由は、外部に向け情報をタイムリーに、最適に発信するという目的が、はっきりし具体的なゴールを設定しやすいからであろう。つまりはROIが検証しやすいのだ。これに対し社内の情報管理、ナレッジ共有は、それが実現できればなんとなく良さそうだというのは分かる。しかし、具体的な効果や目標を立てにくいというのがネックとなるのではないだろうか。

 いっそ、外部に対して効率的に、かつタイムリーに情報発信するために、社内の情報管理、ナレッジ共有をすると考えるといいのかもしれない。そうなれば、内部、外部で別々のコンテンツ管理を行うのではなく、企業のコンテンツ管理を一括で行い、情報ごとに表現や出力先を確実にコントロールする仕組みが必要となる。となると、社内外の情報のハブとなる「コンテンツ管理プラットフォーム」というNORENのコンセプトは、今後さらに求められてくる方向性なのだろう。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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