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.NETとSOAで実現する大規模システム構築ガイド

Microsoft .NETで考察するエンタープライズソリューション構築概要

Microsoft Visual Studio 2008/BizTalk ServerによるSOA導入・構築ガイド


 システム化が進む一方で、比例するようにシステムの膨大化/複雑化も進み、多くの課題を残しているシステムも少なくありません。近年、これらの課題を解決する手段として「SOA」を使った大規模システムを構築する事例が増えてきました。本稿では、SOAを導入する例として、Microsoft Visual Studio 2008やBizTalk Serverを使ったアーキテクチャ例をご紹介します。

エンタープライズ・ソリューション

 近今、さまざまなシステムが私達の社会生活を取り巻くようになり、システム化/IT化が進んでいます。システム化が進む一方で、比例するようにシステムの膨大化/複雑化も進み、多くの課題を残しているシステムも少なくありません。

 システム運用時の課題や問題点も様々ですが、共通して言える点としては、

  • システム設計、アーキテクチャ構成に不備がある
  • 複雑な構成ゆえに、拡張性・保守性・可用性の面でシステムの円滑運用ができない。
  • 保守要員の人材不足
  • 技術者の知識/経験 不足(システムの全体像を掴みきれていない)

 などが挙げられると思います。

 「システムの複雑さ」に関してはアーキテクチャ/システム設計時に十分な検討をすることで、本番運用のトラブルを軽減させることができます。また、万一トラブルが発生しても、保守担当者・運用担当者の技術レベルに関係なく、誰でも柔軟に対応できる構成にしておく必要があります。

 実はシステムが単純な構成である程、

  1. 「トラブルが少ない」(可用性)
  2. 「修正・機能追加がしやすい」(保守性・拡張性)
  3. 「分かりやすい」(誰が見ても理解できるシステム構成)
  4. 「移送・リリースがしやすい」(開発者・運用担当者)

 といった特徴があり、

 「規模の大小問わず正常に機能するシステムは、単純かつ簡単な仕組みで出来ている」

 と言えます。

 今回は、この4つの特徴を実現するため、MicrosoftがVisual Studioでシステム開発する際の1つの指針としてまとめているPattern & Practicesの中から「エンタープライズ ソリューション」「.NETアプリケーション アーキテクチャ」を中心に導入・構築の概要を説明します。

サービス指向アーキテクチャ「SOA」

 サービス指向アーキテクチャ「SOA」とは、大規模なシステムやアプリケーションの各機能を「サービス」として定義する手法です。近年、インターネットを始めとするネットワークテクノロジーが普及し、システム・ソリューションを構築するための手法やアプローチも発展しました。

 「サービス」と聞くと、設計者・開発者の方は「XML Webサービス」をイメージする方も多いと思いますが、本稿ではこれらを含めて「サービス」と定義します。

 「サービス化」の利用用途は、他システム・サブシステム間同士の「データ連携」、ユーザーへの「データ提供」など様々です。特に「SOA」を使用したシステム同士のデータ連携は、連携先のプラットフォームや環境構成に依存することなく、より柔軟なデータ連携を可能にします。

 近年では、この「SOA」を使った大規模システムが多く見受けられ、一時期よりも注目度は下がっているものの、今後も様々な種類の「サービス」が多数構築されると予測されています。「場所」「環境」「時間」を問うことなく、欲しいデータが欲しい時に入手可能であることが、SOA最大の利点です。また、利便性の面でも、非常に注目されているアーキテクチャの1つと言えるでしょう。

 SOAソリューション導入を成功させるには、各サービスの定義を明確する「サービス設計」を上流工程時に行う必要があります。「サービス」を設計する上で最も大切なことは、「見やすいデータ(インターフェイス)」かつ「リアルタイムで公開できる情報であるか」という点です。サービスによってはデータの公開だけではなく、更新・削除・登録処理等を実行するサービスもありますので、一目見ただけでサービスの種類を判別できるインターフェイス構成を設計する必要があります。

次のページ
サービス提供方法の検討

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この記事の著者

吉田 実央(ヨシダ ミオ)

Microsoft MVP for ASP/ASP.NET (Jan 2008 - Dec 2010 )2009年12月まで、フリーのITエンジニア/テクニカルライターとして従事したのち、2010年1月に株式会社アロウズテクノロジーズに入社。主にDynamics CRMやASP.NETを活用したソリュー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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