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紛争事例に学ぶ、ITユーザの心得

ソフトウェアの著作権は誰のものか (2)

 前回から、ソフトウェアの著作権についてお話をしています。ユーザーがベンダーに依頼してソフトウェアを作ってもらった場合、その著作権は原始的には制作者であるベンダーにあり、ユーザーが、それをコピーして配布したり、それを利用して別のソフトを作って販売したりする場合には、別途、契約すべきであるというお話をしました。ソフトウェアの著作権については、紛争になる例も多く、非常に重要なテーマになるので、これから何回かにわけてお話ししたいと思いますが、今回は、前提知識として、そもそも、ソフトウェアの著作権とは、どういう条件で認められるものなのかについて解説したいと思います。

 この話については、私自身もあちらこちらで話したり、書いたりしており、既にご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、大切な基本でもありますので、あらためてご紹介させていただきます。

著作権法

 まずは、日本における著作権の根拠である著作権法の条文からご覧ください。著作権が認められる、所謂、著作物とは、どういうものなのかについては、その第2条に定められています。

 【著作権法第2条より抜粋】

 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

 十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。

 十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

 まず、「一 著作物」の条文で、そもそも著作物になるのは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めています。これだけを見ると、この法律が対象とするのは、小説や絵画、彫刻や音楽あるいは学術論文を対象としているだけのもののようにも読めてしまいますね。しかし、「十の二」、「十の三」を見ると、プログラムやデータベースも著作物に成りえると書いています。長いので引用しませんでしたが、これ以外にも、ネットワークシステムやセキュリティシステムが該当しそうな条文もあります。また、条文にはプログラムやデータベースと言った、最終成果物に近い物だけが明記されていますが、幾つかの判例を見ると、これらを作成する為の設計書も、一応、著作物とは成りえるようです。

 この法律の制定は古く、ITに関する条文は、後から付け足されたようなので、このように、やや解釈が難しい形になってしまっていますが、要は、ITの設計書やプログラム、データベース等も著作物の候補にはなるとご理解ください。

次のページ
思想又は感情を創作的に表現?

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この記事の著者

細川義洋(ホソカワヨシヒロ)

ITプロセスコンサルタント東京地方裁判所 民事調停委員 IT専門委員1964年神奈川県横浜市生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。大学を卒業後、日本電気ソフトウェア㈱ (現 NECソリューションイノベータ㈱)にて金融業向け情報システム及びネットワークシステムの開発・運用に従事した後、2005年より20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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