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2028年までに70%の日本企業は「時代錯誤な言葉」を使い続けて衰退する──Gartner予測

 2025年12月10日、ガートナージャパン(以下、Gartner)は、2026年に向けて獲得すべきマインドセットを発表した。

 獲得すべき新たなマインドセットは、「適切な時代認識」「New Worldの創造」「江戸の店じまい」「ファンダメンタル」の4つのカテゴリーに分けられるという。

マインドセット2026:取り巻く背景と課題/出典:Gartner(2025年12月)

時代認識と時代精神を理解し、共有する

 現在、自動車業界やメディア業界を中心に、デジタルによる産業革命的な破壊的時代変化が起こっている。これらのリアリティを直視し、適切に対応し、実行しない企業は、この先の厳しい競争で生き残るのは難しくなり、10年以内に消滅する可能性があるという。企業や組織はこのような事態を正しく認識し、正しく対応するためにテクノロジーと人と知による武装を行い、結果を出すために備える必要があるとのことだ。

People-Centricを徹底する

 産業革命、AI共生時代においては、テクノロジーに関わる「人」がより重要になり、企業や組織が、従業員に心理的安全性を確保し、元気に活躍できる職場環境を提供することが不可欠になるという。

機械にできることは機械にやらせる

 機械的な対応をしている伝統的なコールセンター担当者の多くが、2030年までにAIによって置き換えられると同社は見ている。また、事務的な業務の80%はハイパーオートメーションによって置き換えられるという仮説も立てているとのことだ。企業や組織は、テクノロジーにできるものはテクノロジーに任せ、人は人間ならではのサービスに注力することがこれからの大きな方向になるとしている。それには、従来の業務中心の考え方から、既存の業務がなくなることを前提にした、新しいビジネスアーキテクチャへの転換が求められる。

デジタル、AIを前提とした企業へと再定義する

 テクノロジの進化による歴史的な変化の大きい時代においては、業務を中心にIT部門が対応を取る従来のやり方では、柔軟な変化対応を推進できない。企業や組織は、歴史的な大競争に備えるために、デジタルを「活用」する企業から「デジタルが前提の企業」に転換する必要があり、テクノロジーを駆使して、テクノロジーや従業員に対する投資を行う必要があるとのことだ。AIをはじめとしたスーパーパワー(想像を絶するテクノロジー)を駆使できる高度な人材が、企業としての能力を強化、進化させることができる。産業革命を実現できるエンジニアとしてのスキル、マインドセット、スタイルの能力を獲得すべく人材を強化することは、これからの企業の生き残りを左右するとのことだ。

AI共生時代へ備える

 AIエージェントやヒューマノイドの登場など、AIが強化され、すべてがAIとなり得る時代に突入している中、私たちは今まで以上に人間として何をすべきか、人間力や人間性の強化が問われているとのことだ。

江戸ダッシュ問題を認識する

 ITインフラの近代化はインフラストラクチャ&オペレーション(I&O)リーダーにとっての喫緊の課題であり、レガシーマイグレーションの議論が活発になっている。一方、多くの場合では、現在の業務システムを引っ越すべきか、それとも維持すべきか、という「江戸ダッシュ」の議論に終始しているという。業務を変えずにテクノロジーだけを変えてもシステムはあくまでも従来のまま(江戸ダッシュ)であり、時代変化への対応という観点では相当にリスキーな状況だとしている。また、レガシーシステムに対応できる人材は、高齢化により今後人材不足が深刻化するという。時代に即したビジネスプロセスやアーキテクチャに再定義しなければ、時代の変化に取り残される可能性があるとのことだ。

高コストへ対応する交渉人となる

 オンプレミスインフラの老朽化対応やレガシーインフラの維持に関するベンダーの製品コストやサポートコストが上昇している。2028年までに、メインフレームのマイグレーションを行おうとする企業の70%が、移行費、運用費、それぞれ300%以上の値上げを要求されるとGartnerは見ている。I&Oリーダーには、ベンダーが提供するコストの値上げに対応する高い交渉能力が求められるとのことだ。

引っ越しを成功させる

 約20年間、クラウドは大きな変遷を遂げてきた。中でもクラウドネイティブとAI、特に生成AIやAIエージェントのトレンドは、クラウドの進化を加速させている。すべての企業は、クラウドのスーパーパワー化に備えるべく、クラウドそのものの見方を捉え直して戦略を抜本的に見直す必要があるという。「本物のクラウド」を使ったオンプレミスからのメインフレーム移行(引っ越し)に向けて、I&Oリーダーおよび経営者は、引っ越しが企業の重大なビジネスリスクにもなり得るテーマと捉え、業務の見直しができるところは見直し、断捨離し、引っ越しを成功裏に終わらせる必要があるとのことだ。昨今では、AIもうまく使いながら、効率よく引っ越しさせるノウハウの獲得も急務となっているという。

ベンダーとの関係を見直す

 企業が産業革命クラスの大変化に対応するには、従来のベンダーとの関係性を見直すことも重要になるという。それには、まず自分たちが変わる必要がある。IT部門は、ビジネス部門の下請け的な立ち位置で業務中心に考える、ベンダーに丸投げするという前時代的なやり方から、新しいスキル、マインドセット、スタイルを獲得して、企業内のプロとして「テクノロジーを自分で運転する」能力を高めていくことが重要とのことだ。また、テクノロジーを駆使してデジタルが前提の新しいビジネスアーキテクチャを構築できるベンダーを中長期的な戦略的パートナーと捉え付き合いを深めることが推奨されるとしている。

時代の変化を踏まえ適切な言葉を使う

 時代変化への対応という点では、何かを決断、実行する際に使う言葉を見直すことも重要だという。新しいことを始めたり投資したりする際に、「もうかるのか」「できるのか」「事例はあるのか」など「〜なのか」が口癖になっている経営者やリーダーが今でも日本企業に多く見られるが、他人事の態度を改め自ら学ぶ姿勢をもつべきだとしている。

 Gartnerは、2028年までに日本企業の70%は、時代に合わない言葉を無意識かつ継続的に使うことで衰退すると見ている。

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