2025年12月4日、ガートナージャパン(以下、Gartner)は、2026年にITリーダーが注目すべきネットワークトレンドを発表した。
現在、テクノロジーの進化にともない「すべてがつながる」ことが前提となるトレンドが浸透している。企業や組織のテクノロジーリーダーも、自社資産に関するシステムやネットワークだけでなく、顧客やパートナーとの関係を踏まえたネットワークを快適でかつセキュアに保つことが求められているという。
これからの企業ネットワークの全体像 出典:Gartner(2025年12月)
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ゼロトラストネットワークへのチャレンジをどう進めるか
企業ネットワークのアーキテクチャは、従来の閉域網中心のネットワークから、クラウド中心のアーキテクチャに移行している。その中核を担うのが、セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)などで実現する論理的なアクセスコントロールだという。国内では、2025年の時点で4割近い企業がセキュリティサービスエッジ(SSE)やSASEなどのサービスを利用し始めているとのことだ。
また、サイバー攻撃の脅威に見舞われる昨今の企業や組織では、オンプレミスの領域においても、従来のネットワークセグメンテーションよりも粒度の細かい動的なアクセスコントロールを前提とするゼロトラストネットワークが求められているという。
ITとOT/IoT/CPSのシステムの連携や保護をどう進めるか
Gartnerが2025年2月に実施した調査によると、約半数の企業はIT、OTなどのネットワークはファイアウォールなどで分離していると回答している。一方、稼働するOT/IoT/CPS(サイバーフィジカルシステム)のシステムに関して、①状況をタイムリーに把握するためIT側からタイムリーにアクセスしたい、②OT/IoT/CPSのシステムをIoTやAI、クラウドでより効率化したい、③OT/IoT/CPSシステムをパートナーにリモートメンテナンスさせたい、という経営者や事業部門のニーズもあり、OT/IoT/CPSとITのネットワークの統合や分離をどうするべきかについての議論が活発になっているそうだ。
組織の役割や作業の自動化、省力化をどう進めるか
すべての資産が自社内にあり、その前提でネットワーク機器および回線の構築・運用を行っていた時代では、企業ネットワークは境界の内側と外側で隔離する構成を重視してきた。そのため、境界の内側システムは全体的にセキュリティへの備えが甘くなりがちだったという。今は、すべてのリソースが常にセキュアであることが求められ、ゼロトラストをベースにしたアクセスコントロールが前提となっているため、チームに求められる役割やスキルも変わってきている。
さらに、これからは生成AIやAIエージェントなどのテクノロジの進展により、インフラやアプリケーションのアーキテクチャや構築・運用ツールが大きく進化し、自動化や省力化が大きく進展するとのことだ。同様に、ネットワークに携わるスタッフの作業内容も大きく変わるという。たとえば、ユーザーが快適にサービスを使えているのか、不審なトランザクションが社内外に起こっていないかを把握することが重要なミッションとなる。こうした進化はAIを駆使した運用管理ツールで実現され、ネットワークやそのセキュリティにおける作業の効率化に大きく貢献すると同社は見ている。
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