Gartnerは11月19日、世界のデータセンター電力需要が2025年に16%増加し、2030年には2倍に達するとの見通しを発表した。同社のアナリストによれば、データセンター全体の電力消費量は2025年の448テラワット時(TWh)から2030年には980TWhに増加する見込みという。
この増加の最大の要因はAI最適化サーバーであり、データセンターの電力消費を加速させている。AI最適化サーバーによる消費は2025年の93TWhから2030年に432TWhと、約5倍に拡大すると予測。データセンターにおけるAIサーバーの電力使用比率は、2025年の21%から2030年には44%となり、同年の電力増加分の64%を占めるという。
地域別では米国と中国が電力需要の3分の2以上に上る。中国はサーバー効率やインフラ計画により米国より有利とされるとした。米国のデータセンター電力使用量は2025年の4%から2030年には7.8%に、ヨーロッパは2.7%から5%へ増加する見込みだ。一方、中国やアジア太平洋地域は緩やかな成長が予想される。
電力源については、現在主流の化石燃料に代わるクリーンエネルギー利用が期待されている。短期的には天然ガスが中心となるが、今後3~5年で蓄電池システムの普及が見込まれるという。地熱やグリーン水素、小型原子炉などのクリーンなオンサイト電力の選択肢も登場しており、今後10年以内で実用的な代替エネルギーになる可能性を示した。
日本では、環境対策や高電力・水冷設備対応が遅れているが、一部データセンターで導入が進み始めている。ディレクター アナリストの山本琢磨氏は日本向けに、企業は世界動向を踏まえ、電力効率や持続可能性を重視したデータセンター導入を検討する必要があると補足した。
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