ガートナージャパン(Gartner)は、2025年の日本における未来志向型インフラテクノロジーのハイプサイクルを発表した。
2025年版の同ハイプサイクルでは、将来に向けて企業が注目しておくべきテクノロジーやイノベーションとして、次の9項目を新たに追加したという(AIエージェント、エージェント型AI、AI定義型自動車、AIファクトリ、AI創薬プラットフォーム、インダストリAI、完全自動化、ビジネス指向EA、デジタルデリバリーの民主化)。一方で、2024年版に掲載したものの一部を除外したとのことだ。
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2025年版に追加したテクノロジーの中で、エージェント型AI、AI創薬プラットフォーム、AI定義型自動車は、黎明期に位置付けられているものの、これらがもたらす変革は革新的であり、「過度な期待」のピーク期に位置付けられているAIエージェントや生成AIと同様に2~5年で成熟期に達するとした。
エージェント型AIは、急速に変化するビジネス環境において、組織の適応力と成長を支える鍵になるという。従来のシステムが人間の指示を待つのに対し、エージェント型AIは自ら状況を把握し、最適な行動を選択することで業務のスピードと質を向上させる可能性があるという。加えて、24時間365日稼働し続けることができ、常にタスクを管理・実行できるため、人的リソースの限界を超えた成果を生み出す可能性があるとしている。意思決定の自動化、リスクの低減、イノベーションの促進といった側面でも、エージェント型AIは今後の企業運営において不可欠な存在となり得ると同社は述べる。
AI創薬プラットフォームは、AIを駆使して新薬候補の探索・設計・最適化・評価を支援する統合システムを指すという。従来10年以上かかっていた新薬開発プロセスを短縮し、コストを削減できる可能性があるとしている。医薬品開発の効率と革新性を飛躍的に高める中核的テクノロジーとのことだ。
AI定義型自動車とは、AIを中核に据えて設計・開発された自動車を指すという。走行制御、環境認識、意思決定、学習機能、ユーザーエクスペリエンスの最適化をAIが自律的に担うとしている。AIによって開発効率を飛躍的に高め、アジリティを強化することで、従来型のエンジニアリング手法を刷新するという。自動車産業の主導権争いにおいて、AI定義型は不可欠な進化になるとした。
現在、AIは、生成AIからエージェント型AIへの移行期にあるが、同ハイプサイクルでは、さらに先を見据えたテクノロジートレンドを掲載しているという。これらには、たとえば、完全自動化があるとしている。完全自動化とは、人間の介在を一切必要とせず、システムやプロセスがエンドツーエンドで自律的にタスクを遂行する状態を指すという。これは、意思決定から適応、例外処理に至るまで自律的に対応できる知的能力と実行力を備え、新たな産業革命の原動力となるもの。しかし、その導入を誤れば、大規模な雇用喪失や経済的不平等の拡大、社会不安の深刻化といった未曾有の課題を引き起こす可能性もあると同社は述べている。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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