日本IBMは、IBM Power10プロセッサーを搭載した最初の製品「IBM Power E1080サーバー」の出荷を9月17日から開始することを発表した。
Power E1080の特長
摩擦レスなハイブリッドクラウドによりモダナイゼーションを促進
オンプレミスでもクラウドでもハイブリッドクラウド全体で一貫したアーキテクチャーを採用。同製品と「IBM Power Virtual Server」によるハイブリッドクラウド環境では、オンプレミス上にある基幹アプリケーションを、追加のミドルウェアやアプリケーションの変更を必要とせず、スムーズにクラウドに移行することができるという。
また、「Power Private Cloud with Dynamic Capacity(Dynamic Capacity)により、コスト効率よくリソースを拡張することが可能。クラウドのような支払い体系をデータセンターに導入することができ、サーバーの乱立や長い調達プロセスを回避しながら、運用効率と柔軟性を向上させることができるとしている。
さらに、コアあたりのOpenShiftコンテナのスループットがx86ベースのサーバーと比較して4.1倍高く、単一の筐体でより多くのワークロードを同時にデプロイすることが可能。オンプレミス・システムでは初めて、Red Hat Enterprise LinuxとRed Hat OpenShiftの両方で分単位の課金をサポートする予定だという。
効率性、セキュリティー、エンタープライズAIを実現
Power10プロセッサー によって、前世代のPower E980と比較して、ソケットおよびシステムレベルでコアあたりのパフォーマンスが最大30%向上、処理性能も50%以上向上しているという。これにより、Power E980と比較して、同じ処理をする際のエネルギー消費量が33%削減されるため、脱炭素に貢献するとしている。
また、Power9と比較するとPower10ではコアあたりの暗号化エンジンの数が4倍になっており、暗号化処理が高速化。前世代のIBM Powerサーバーと比較して、AES暗号化のコアあたりの処理が2.5倍高速になっているという。
加えて、コアごとに4つのMMA(Matrix Math Accelerator)エンジンを搭載しており、前モデルと比較して、AI推論の精度を最大5倍以上向上。ONNX(Open Neural Network Exchange)もサポートしており、TensorFlowやPyTorchなどの最も一般的なフレームワークを使用して、ONNXで利用可能な学習済みのAIモデルは、コードの変更を必要とせずに、x86ベースのサーバーからPower E1080にデプロイ可能だとしている。
ISVやパートナー企業とのエコシステムでさらなる機能強化
主要なSAPアプリケーションのパフォーマンスを測定する「SAP Application Performance Standard」の値のベンチマークで、Power E1080は、8ソケットシステムとしては、最も近いx86ベースのプラットフォームよりも40%多い174,000以上の2層のベンチマークユーザーをマークし、世界新記録を達成したという。
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