デジタルトランスフォーメーション研究所は2021年12月に全国の自治体を対象として実施した「自治体DXアンケート調査」の報告書をまとめ、公表した。調査期間は7月13日から9月10日で、対象は全ての地方公共団体、1788団体。有効回収数は280件(7都道府県、273市区町村)だった。
自治体は民間企業と比較するとDXの成熟度が低い状況にあり、積極的な自治体とそうでない自治体の差が大きいという。先行している自治体とそうでない自治体では「トップのコミットメント」の成熟度に大きな差があったとしている。
現在のDX成熟度レベルで分類したところ、レベル1未満が79.6%。レベル1以上2未満が18.9%、次にレベル2以上3未満が1.4%。成熟度が1未満の「未着手」である自治体が8割であることから、ほとんどの自治体でDXに向けた戦略的な取り組みが行われていないことがうかがえた。民間企業ではレベル1以上が7割ほどで、依然、自治体は民間企業と比較し、DXの成熟度が低いとしている。
また同社は、現在値はばらつきが少ないのに対し、目標値ではばらつきが大きい点を指摘。3年後の目標設定については、積極的な回答をした自治体と消極的な回答をした自治体などばらつきがあったためと分析している。
同社は調査を受け、自治体向けにビジョンの明確化、デジタル戦略の立案、推進体制の構築の支援を拡大していくという。
その他の特筆事項
- 自治体区分別の分析では、都道府県が総じて成熟度が高く、基礎自治体は低い
- 都道府県では人材に関する設問で積極的な目標を設定しているのに対し、基礎自治体ではビジョンやDXの必要性の共有などに積極的な目標を設定している
- 先行自治体では「トップのコミットメント」が実施されているのに対し、その他自治体では未実施。一方、先行自治体でも人材の融合や確保、非競争領域の標準化・共通化に関する取組が進められていない
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