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紛争事例に学ぶ、ITユーザの心得

民法改正で変わる瑕疵担保責任の考え方


 前回、前々回と、来年に予定されている民法改正のお話をしてきました。請負契約では、たとえ成果物が完成しなくても、そこまでに作った成果物が発注者の役に立つならその割合に応じて受注者は費用を請求できる。準委任契約であっても、成果物の引き渡しを支払いの条件とすることも可能になる。読者の皆さんにとって、今回の改正は好都合なものでしょうか?それとも、ちょっと困ったなあとお感じでしょうか。いずれにせよ、今まで使ってきた契約書のひな形などあるなら、もう一度見直した方が良いかもしれませんね。

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瑕疵担保責任とは

 さて、今回は一連の民法改正のお話の最終回、瑕疵担保責任についての考え方が変わったことについてお話ししたいと思います。瑕疵担保責任という言葉については、すでに、ご存じの方も多いかと思います。受注者が請負契約に基づいて作った成果物に瑕疵、システム開発で言えばバグ等の不具合が見つかっ場合、発注者は契約を解除することも可能だし、そうまでしなくても、受注者にその補修や損害賠償を請求することができるというものです。今までの民法では以下のように規定されていました。

 第六百三十五条

 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。(後略)

 第六百三十七条

 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。(後略)

 ちょっと注意が必要なのは、この瑕疵担保責任が適用されるのは瑕疵が契約の目的を達成できないような重大なものに限られるということです。我慢すれば使えないこともなく、すぐに補修できるようなシステムの画面に記載した文言の誤字や、ちょっとしたレイアウトのミス程度のものは、こうした瑕疵担保責任の対象とはなりにくいと考えられます。

 そしてもう一つの着目点は、瑕疵担保責任の期限です。発注者、つまりユーザがベンダに瑕疵の修補や損害賠償、あるいは契約解除を求めることができるのは、納品後1年以内に限られていました。

 たとえば家を建てるとき、その家の床が傾いていたり壁に穴が開いていたりしていたら、その家には住むことができません。つまり、契約をした目的を達成できないような成果物です。そんな家を引き渡されれば当然、契約を解除するかタダで全部直してもらいますよね。そして、欠陥の中には、住んでみて初めてわかる物もあります。水道管から水が漏れる、ホルムアルデヒドが出てシックハウス症候群になってしまう。そうしたことは、建ててすぐには気づかないことも多いので、1年くらいは猶予を持っておこうというのが、この法律です。

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現状のままでは、IT開発には合致しないところもある

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この記事の著者

細川義洋(ホソカワヨシヒロ)

ITプロセスコンサルタント東京地方裁判所 民事調停委員 IT専門委員1964年神奈川県横浜市生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。大学を卒業後、日本電気ソフトウェア㈱ (現 NECソリューションイノベータ㈱)にて金融業向け情報システム及びネットワークシステムの開発・運用に従事した後、2005年より20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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