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データサイエンティストサミット2014 Autumn(AD)

IBM森氏、秘蔵プロジェクトを例にビッグデータ活用のプラットフォームを紹介

 「データサイエンティストサミット2014 Autumn」で「データサイエンティストの活動を支えるプラットフォームとは」というタイトルで講演を行ったのは、日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業本部 インフォメーション・マネジメント事業部 ビッグデータ & DM製品営業 統括部長の森 英人氏だ。森氏は、IBMのビッグデータ活用のためのプラットフォームについての解説は行わなかった。ビジネスシナリオやビジネスモデルを理解しないとどういうプラットフォームが必要になるかが分からないと指摘し、実際の事例に基づきビッグデータを活用するためのビジネスシナリオ、ビジネスモデルとはどんなことかについて紹介した。

データを活用することで生まれる新たなビジネスシナリオ

日本IBM 森 英人氏

 まずは分析の話は忘れる。ビジネスシナリオやビジネスモデルを理解しないと分析なんてあり得ないと森氏。ビジネスシナリオに興味がないならば、データサイエンティストにはなり得ないとも言う。

 「分析のための分析ではなく目的意識が重要です。どのような社会的な問題を解決するのか。それについて、実際の事例に基づいて話をします」(森氏)

 取り上げたのは、ヨーロッパの通信会社の事例だ。この通信会社が取り組んだビジネスシナリオは、もともとは森氏が日本国内の通信事業者向けに提案したもの。とはいえ「ビジネスモデルが危険すぎると国内ではお蔵入りになりました。その提案をヨーロッパのIBMチームが海外の通信会社に提案し実現しました」と森氏。

 通信会社には、特徴的な優位性がある。それは、携帯電話という存在が自ずと個人に紐付いていることだ。携帯電話上での各種操作は、すべて個人の行動パターンや嗜好性に結びつくことになる。

 「それを分析するとさまざまなことができるようになります。小売りなどのクライアント企業が持っているデータを統合すると、さらにいろいろなことができる。クライアント企業とジョイントマーケティングを行い、直接個人の消費者に商品やサービスを売り込んでしまうことができるのです。これは、日本ではまだできていないところです」(森氏)

 これを実際にはどうやって行うのか。たとえば、SNSなどから得られるソーシャルのデータを分析してポジティブ、ネガティブを評価することができる。とはいえ、ある製品やサービスの情報を発信した際に、それに対し「誰がポジティブに反応しているのか」までは分からない。クライアントとしては、どこのレイヤーの人が反応していてい、それにどうアクションすればいいのかを知りたい。けれど、誰かが分からないのでアクションをとれないのだ。

 ところが「通信会社のデータを見れば、どこのどんな人かが分かってしまいます。それは、どの端末がどんな操作をしているかが分かるからです。通信会社ではポジティブな反応をした人が何歳の誰で、どこに住んでいるかの情報(契約の際の基本情報)も持っています」と森氏。どこに住んでいるどんな人かが分かれば、クライアントはどういうセグメントの人が反応しているかを分析できる。つまり、通信会社のデータとソーシャルのデータを統合。企業が持っている売上げデータが個人の情報と結びついていれば、個人に対し直接的なマーケティング活動を行うすることで、特定地域に住んでいるポジティブな反応をしたセグメントを特定することまで可能だ。

 さらに次のステップでは、そこにクライアントが持っているデータを加える。たとえば、商品の売上げデータだことができ、その効果が売上げにどう結びつくかも分かるようになる。それが分かれば、効果の高いマーケティング活動とは何かが分かり「次に何をすればいいかが分かるようになります」と森氏。

 ここまででも斬新的なアプローチだが、これは携帯電話の通信会社データを活用する最初のステップにすぎない。第二段階では、通信会社がスマートフォンを使ってクライアントの商品やサービスを直接プロモーションしてしまうのだ。

 「今であればそんなに難しいアプローチではありませんが、最初に提案を行った3年前はかなり斬新的なものでした」(森氏)

 この施策の利点は、通信会社が持っている個人情報をクライアントに渡すことなく消費者に直接アプローチできることだ。これは、クライアント企業のビジネスモデルを変えると言うよりは、通信会社のビジネスモデルを変えるアプローチと言える。通信会社が通信費を得るビジネスモデルではなくクライアントの商品を売ることで、何らかの対価を得るようになるのだ。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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