アナリティクス専門企業である、SAS Instituteが創業したのは1976年。今年は40周年の節目の年だ。ソフトウェアベンダーでビジネス領域を変えずに長い年月を貫き通している企業はそう多くない。過去にはIBMなどから買収の申し出も数多くあったようだが、そういった誘いは一切退け、プライベートカンパニーとして経営を続けている企業は珍しい存在だ。
アナリティクスに特化したビジネスで40周年
そんなSASのカンファレンスイベント「SAS Global Forum 2016」のオープニングゼネラルセッションに登場したCEOのジム・グッドナイト氏は、40年前にSASを創業して以来ずっとSASを先頭に立ち牽引してきた人物だ。70歳を超えてなお現役の経営トップであり、いまだにコードも書いているとの噂もあるくらい。

この日のセッションでは、SASにおける40年の月日を振り返ったグットナイト氏。一貫してアナリティクスの製品を提供しているSASだが、それを発展させる形でマーケティング・オートメーションの「Customer Intelligence 360」やサイバーセキュリティ対策製品を提供している。さらに本業の領域でも、次世代のハイパフォーマンス・アナリティクスやビジュアル・アナリティクスといった新しい製品も提供している。
「当初はシングルプロダクトでシングルマシンの環境から始まりました。今では数百の製品群になっています。この40年間でもっとも大きく進化したのが、マシンのスピード。その結果、SASができることが大きく広がりました」(グットナイト氏)。
当初は、秒間500トランザクションしか処理できなかったが、今では秒間30億トランザクションもの処理も可能だ。メモリも数100Kの世界からギガバイト、テラバイトに拡大している。CPUのコア数も大幅に増え、マッシブパラレル・コンピュータで超並列処理もできる。こういった進化があったからこそ、カスタマーインテリジェンスと言った新たな領域などで、ビッグデータを用いたリアルタイム分析を活用するようなチャレンジもできる。
「次なる40年のためにアナリティクスについてもっと若い世代が学んで欲しい。すでにSASでは学生などにアナリティクスの教育の機会を提供しており、これを活用し学んだ学生が大勢います」
CEOであるグッドナイト氏が70歳を超えても、教育に投資し若い世代に期待して次なる40年を語れる。そんなところが、今のSASの強さでもあるのだろう。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア