New Relicは3月19日、製品ビジョン/新製品発表会を開催した。
同社 副社長の宮本義敬氏がまず同社のビジネスアップデートを紹介。宮本氏は、国内ユーザーが32,000人を突破したことを挙げ、その背景にのべ参加者2,000人を超えるユーザー会の存在が大きいことを明かした。さらに、企業事例として良品計画では、実店舗と同様の購買体験のためにECサイトの顧客サポート業務に同社製品を導入したという。わずか3ヵ月で問い合わせを4分の3に削減したというが、宮本氏は「非エンジニアがNewRelicの画面を見て一次回答できるようにしたことで回答速度を上げることができた。(NewRelicは)エンジニアのためのツールと思われがちだが、非エンジニアが使って成果を上げた事例」と強調した。

続いて、執行役員 CTO 松本大樹氏が新機能ロードマップを説明。松本氏はオブザーバビリティのこれまでの技術進化として「最初はAPM(Application Performance Monitoring)から生まれたが、それをあらゆるシステムの領域に広げていったのが最初のフェーズ(1.0)。そこから1つのプラットフォームに統合していったのが2.0」と振り返る。続けて「2023年~2024年にかけては多くの機能をリリースすることができた。ただ、情報量が多くなるにつれて、人間が理解するのが難しいという弊害も生まれた。そこで、3.0としてこれまで以上に民主化を進めるために進化させていく。具体的にはAIエンジンを強化して、システムの変化や障害を理解・予知することを人間が簡単にできる仕組みづくりに取り組んでいく」と展望を語る。

松本氏は「AIが重要な役目を担う」と繰り返す。既に同社は、自然言語でプラットフォームを操作するAI Assistance、顧客が所有のAIシステムの観測をするAI Monitoringをリリースしているが、今後は「Agentic AI(AIエージェント)」の領域を拡大していく計画だ。同社における定義として次の2点を挙げた。
- 不足している情報を補ったり、関連する情報を提供したりすることで、ユーザーの要望を深堀する
- エージェント自体が自律的に他のシステムとやり取りをする
そこで同社ではAIエージェント間の統合を可能にするオープンエコシステム「Agentic Orchestration」を構築している。今回、ここに新たにServiceNow、Google Gemini、Amazon Q Business、GitHub Copilotが加わることを明らかにした。同社は今後も連携するパートナーを拡大してく考えだ。
松本氏は最後に「AIエンジンを強化するのはもちろん、今までのようにオブザーバビリティに必要な3要素(集約・分析・可視化)も引き続き強化していく」と話した。

同日発表された新機能は次の通り。大きく「AIによるビジネスのアップタイム向上」と「顧客体験の改善によるビジネス貢献」の2つだ。
AIによるビジネスのアップタイム向上
- Agentic Integrations:AIエージェント間の統合を可能にし、New Relicのオブザーバビリティデータとレコメンデーションをビジネスおよびテクノロジーのエコシステム全体に提供
- Response Intelligence:ITSMなどの外部ソースを含むすべてのメトリクス、変更、サービスをコンテキスト化して、インシデントの解決を迅速化する
- Predictions:機械学習アルゴリズムを活用して、単一のインタフェース内で履歴データを分析し、パターンを迅速に特定、時系列メトリクスを予測する

顧客体験の改善によるビジネス貢献
- Streaming Video and Ads Intelligence:ストリーミングメディア向けのインテリジェントオブザーバビリティソリューション
- Engagement Intelligence:ユーザーの画面操作に関するデータ収集を自動化し、すべてのインタラクションをキャプチャすることで、手作業による計測を排除し、組織によるデジタルユーザーインタラクションの分析および改善を加速

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