AIセキュリティに舵を切ったZscaler──製品戦略、OpenAIとの対談などで見えた同社の方向性
「ゼロトラスト」の姿勢は崩さない 日本市場にも積極投資へ
米Zscalerは米国時間2026年6月8日〜11日に年次イベント「Zenith Live 2026」を開催。AIセキュリティや自律型SASEの実現に向けた新製品を発表した。本稿では、同社CPOのアダム・ゲラー氏へのインタビューをもとに、Palo Alto Networksをはじめとする競合企業に対する、クラウドネイティブな設計思想による差別化戦略を紐解く。また、OpenAIとの対談から見えた「Codex」が変える知識労働の未来や共同連携の展望を解説。さらに、現在成長の勢いが止まらない同社日本法人のトップに取材、今後の戦略を聞いた。
AIセキュリティに舵を切ったZscaler、Palo Alto Networksなどの競合とどう差別化を図るのか
米国時間2026年6月8日〜11日に開催された「Zenith Live 2026」。基調講演1日目では、AIセキュリティに向けた数々の発表がなされた。
2日目の基調講演では、ZscalerのChief Product Officer(CPO)であるAdam Geller氏が登壇し、「SASE」と「データセキュリティ」の2つの軸を中心に新製品を発表している。
自律型SASEの基盤として発表された「ZAgent Framework」は、Zscalerの各製品グループ(ZDX、ZPAなど)に特化して訓練された一連のAIエージェント群。日々のシステム運用やトラブルシューティングを効率化させるものとして講演でも注目を集めた。
上記のように、「Security for AI」ならびに「AI for Security」実現に向けた製品群を数多く発表した同社だが、この領域では多くの競合他社が製品を発表している。そんな中、他社との差別化をどのように図っていくのか。ゲラー氏に話を聞いてみると、同社の設計思想およびアーキテクチャ構造に勝ち筋を見出しているようだ。
まず、Zscalerのプラットフォームは最初からクラウド上で動作し、マルチテナントを提供することを前提に一から設計されたインライン・クラウド・セキュリティサービスだ。これに対し、たとえば同じくSASE市場をリードする競合企業Palo Alto Networksは、もともとハードウェア(ファイアウォール)の会社として出発している。そのため、彼らのクラウドセキュリティのアプローチは「ハードウェア用の仮想アプライアンス(VM)をクラウド上で動作させる」という物理の延長線上に留まっており、Zscalerとは技術的に根本的な違いがある。
また、Zscalerのアーキテクチャでは、顧客のアプリケーションやインフラがクラウドの影に完全に隠され、インターネット上のいかなる第三者からも視認できない“インビジブル”な構造になっている。しかし、物理アプライアンスを仮想化してクラウドに並べる競合アプローチでは、ファイアウォールやVPNのエンドポイントがインターネットに公開されたままとなるため、それ自体が攻撃者の標的となり、新たな脆弱性の温床となってしまう。
なお、AIセキュリティの領域では一部の機能に特化したニッチなスタートアップが数多く台頭しているが、「世界126ヵ所以上のデータセンターを運用し、日々7500億件のトランザクションをインラインで処理するZscalerの規模と信用性を代替することは不可能だ」とゲラー氏は語る。また、同社の最新のAIセキュリティ機能(AI資産の可視化、安全なアクセス、AIアプリ保護など)を個別のピンポイント製品ではなく、顧客がすでに運用しているプラットフォーム上に自然に拡張可能な形で統合して提供できる点が、他社とは一線を画していると語った。
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