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クラウド運用コストは20~35%削減できる──A.T. カーニー論考

 A.T. カーニーは、論考『Cloud 2.0:移行から最適化へ』(英題:Cloud 2.0: from migration to optimization)を公開した。KearneyとModernZが共同開発した、クラウド環境の継続的な最適化を支える枠組みと活用事例を示す論考だという。

 同論考では、移行の速さを優先する従来の進め方から、システムの特性に応じて適切な稼働先を選び、運用を継続的に見直す「Cloud 2.0」への転換を提言。この枠組みを用いて、クラウド運用コストを20~35%削減する機会を特定できるとのことだ。クラウドとオンプレミスの併用を前提に、コスト、性能、セキュリティなどを一体で評価し、事業価値につながる判断を行うことが重要だとしている。

移行の速さから、稼働先と運用の最適化へ

 同論考は、既存のアプリケーションを最小限の改修でクラウドへ移す「リフト・アンド・シフト」について、移行費用や工数の過小評価が技術的負債の増加を招いたと指摘。データセンター向けに設計されたアプリケーションが、クラウド上で非効率に稼働することも課題だと述べている。

 また、同論考が引用する業界調査によれば、クラウド総支出の20~30%が、使われていないリソースや過剰に割り当てられた容量に費やされているとのこと。クラウドとオンプレミスが混在する環境を継続的に管理するためには、移行先を選定するだけでなく、アプリケーションごとの稼働状況や相互の依存関係を把握し、どこで稼働させることが適切かを見直す必要があるとしている。

3つの領域で、稼働先の選定から継続的な最適化までを支援

 Cloud 2.0の枠組みは、相互に補完する3つの領域で構成されるとのこと。1つ目に重要なのは、資産の把握と配置設計だという。システム構成、稼働実績、ライセンスなどの情報を集約し、アプリケーションごとの技術要件、費用、セキュリティ上の制約、リスクを踏まえて配置先を判断。使われていない仮想マシンや過剰な容量も洗い出し、既存環境と移行先の双方を最適化するとのことだ。Kearneyの意思決定の枠組みと、ModernZのAIによる分析を組み合わせ、特定のクラウド事業者に依存せずに評価することが特徴だとしている。

 2つ目は、稼働基盤と契約条件の設計だという。パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスを同じ総保有コスト(TCO)の基準で比較。利用料金だけでなく、ライセンス、移行、サポートなどの費用を織り込み、利用実態や移行計画に合った契約を設計するとしている。同時に、セキュリティ、認証、ネットワーク、費用の管理ルールを設計段階から整え、部門間の役割と責任を明確にするとのことだ。

 3つ目の要諦は、移行と継続的な最適化だという。アプリケーションとデータベースの依存関係を踏まえて移行の順序を決め、移行後も利用状況に応じて容量や配置を調整。財務部門とIT部門が連携するFinOpsの実践を通じて、費用の配賦、最適化目標、管理責任を明確にし、削減効果を維持できる運用を整えるとしている。

自動車サービス企業では、年間150万米ドルのインフラ費用を削減

 論考内では、自動車サービス企業で、標準的なAWS評価による基準値と比べて年間150万米ドルのインフラ費用を削減した事例が紹介されている。この企業では、従来の評価で見落とされていた性能・容量、ライセンス、稼働先の選択、契約と移行支援の活用という4つの論点を見直し、AWSへの移行計画を最適化したとのことだ。

 この事例は、利用するクラウド事業者を選ぶだけでなく、アプリケーションの実態と契約条件を併せて見直す重要性を示しているという。たとえば、容量が不足するシステムを事前に特定するとともに、ライセンス条件に合った配置を選び、移行の進捗に応じた契約を組むことで、費用と運用上の課題に対応しているという。

 同論考では、コスト削減にとどまらず、既存システムをどこまで刷新し、どの順序で進め、そのためにどのような体制や能力を整えるかを明確にすることも重視しているとのこと。移行の完了を終点とせず、稼働状況、費用、事業上の要件を継続的に確認し、最適化を続けることが求められるとしている。

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