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第6回 ITSS V3、UISSの方向性と情報処理試験との関係

  2008/01/08 12:00

 今回は、2008年春に予定されている、新・情報処理技術者試験と、ITSS、UISSの方向性に関連した話題を解説します。

今春に大幅改定を迎える情報処理試験

 2006年6月のITSS V2発表時のIPAの説明では、ITSSは毎年3月と10月にマイナーも含めたバージョンアップを実施するということでした。また、並行して産業構造審議会・人材育成ワーキンググループのアウトプットとして、情報処理試験と各スキル標準の関係、及び統合キャリアスキルフレームワークなるものの構想が提示されています。しかし、この統合フレームワークはあまり話題に上がって来ず、ITSSの新版もこの10月には発表されませんでした。一方で情報処理試験に関しては、2008年春の大幅改定に向けて着々と準備が進んでいることをご存知の方も多いと思います。

ITSS V2_2006の次は?

 ITSSの最新版はITSS V2_2006で、使いやすくなったV2にさらにITSM(IT Service Management)の考えがプラスされ、システム構築一辺倒の定義体から運用周りに大きく踏み込んでいます。この改善で、活用の幅が広がったと感じている方も多いでしょう。大方の予想では、その次の改良版はITSS V2_2007として、この10月に出てくると考えられていました。ところが結果として今回は見送りになり、次のターゲットは来年3月のITSS V3ということになりました。スキップされたのは様々な理由が考えられますが、一番大きな原因として、先ごろ発表された産業構造審議会・人材育成ワーキンググループのレポートへの対応などによるものと考えられます。

産業構造審議会・人材育成ワーキンググループのアウトプット

 ワーキンググループは、昨年スタートして今年の7月20日で終了していますが、アウトプットを見てみると情報処理試験が主役であり、3つのスキル標準とどう関係付けるか、またそのために統合されたキャリアスキルフレームワークがインターフェースになっているという印象でした。当初は色々議論のテーマがあり、実際に議論されていましたが、結果として収まるところに収まったということだと思っています。

図1 キャリアスキルフレームワーク
図1 キャリアスキルフレームワーク

 ただし、筆者はキャリアスキルフレームワークに違和感を持っていました(この名付けもいただけません)。同じエンタープライズで括れるITSSとUISSだからといって、キャリアフレームワークを統合する意味が分からなかったのです。1つのIT業界で活用するITSSだからキャリアフレームワークを共通化できますが、製造、流通、製薬、流通など挙げればきりがない複数の業界の中のユーザー企業の、しかもその中の1部門であるIT部門が活用するUISSは、共通化しても意味がありません。他社のIT部門と比較する必要がなく、自社のビジネスをITで支えることが情報システム部門のミッションだからです。それぞれビジネスモデルも目標も位置づけもすべて異なるのが普通です。ですからUISSの活用手順は、何かに合わすのではなく自社のものを策定することになっているわけです。同じくエンタープライズではないETSSを統合しても、どう活用していいかさっぱり分からなかったのです。

 時間をかけてキャリアスキルフレームワークを見ていると、疑問が解けました。この統合フレームワークは高度IT人材を育成することに効果を発揮するのです。もっと分かりやすく言うと、個人に対して情報処理試験の資格をどういう順序で取得していけば、スキルが上がり高度IT人材に近づくことができるのかという道筋を明確にしているのです。そのために、3つのスキル標準すべてがそのベースになければ意味がないので、統合した上で情報処理試験の資格を職種・専門分野と関連付けているわけです。つまり、キャリアスキルフレームワークそのものは、IT業界の高度IT人材育成のための枠組みであって、企業内でキャリアパス策定や人材育成のために、直接的に活用するものではないということです。

 別の観点で続けますと、今まで通りIT業界ではITSSキャリアフレームワークを活用して人材を育成し、ユーザ企業はUISSを活用して自社のモデルを策定し、組織のあるべき姿や人材育成を進めるということに変わりはありません。使い分けが必要です。

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著者プロフィール

  • 高橋 秀典(タカハシ ヒデノリ)

    株式会社スキルスタンダード研究所 代表取締役。 1993年日本オラクル入社。研修ビジネス責任者としてオラクルマスター制度を確立させ、システム・エンジニア統括・執行役員を経て2003年12月にITSSユーザー協会を設立。 翌年7月にITSSやUISSを企業で活用するためのコンサルティングサービスを...

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