富士通は、サステナビリティ・トランスフォーメーション(以下、SX)の世界的な動向や実態把握を目的に調査を実施し、その結果として「Fujitsu Future Insights グローバル・サステナビリティ・トランスフォーメーション調査レポート 2022」を6月28日に公開した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 実施時期:2022年2月
- 対象国:オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、日本、シンガポール、スペイン、イギリス、アメリカ
- 対象者:従業員数500人以上、前年度売上100億円以上の企業に属する経営層および意思決定者
- 方法:オンラインによる無記名のアンケート記入(1,800名)およびインタビュー(23名)
サステナビリティは経営の優先課題へ
経営におけるサステナビリティの優先順位は、この2年間で急激に上昇しており、回答者の41%は、サステナビリティを経営の優先課題トップ3の1つに挙げている。その主な理由は、若い世代のサステナビリティに対する意識の高まり(54%)、政府の規制やガイドライン、消費者団体からの要請(49%)などだった。
SXのリーダー企業は全体のわずか5%
調査の結果、21%の企業は既にSXの成果を実現しつつあることが明らかになった。一方で、SXに関するビジョンや全社戦略を策定し、包括的な施策により大きな成果を上げていると回答したリーダー企業は全体のわずか5%に。54%もの企業が全社的なサステナビリティ戦略の立案や実行に取り組めていない状況も判明したという。
デジタル・ファーストのアプローチはSXの重要な鍵
同調査において、SXのリーダー企業を分析したところ、パーパス・ドリブン、ヒューマンセントリック、データ・ドリブンそしてコネクテッドの4つの要素において、高い成熟度を持つことが確認できたとしている。このことから、これらの要素がサステナビリティを成功に導く重要な成功要因である可能性が示唆されたという。また、回答者の67%は、DXがSXの成果創出に寄与すると考えており、調査結果からもSXの成熟度と、DXの成熟度の強い相関関係も判明。デジタル・ファーストのアプローチがSXの推進にあたり非常に重要な要素であることが確認できたという。
SXの課題と解決の方向性
同調査では、SX推進における現状として、回答者の38%が、サステナビリティのビジョンと実行に関して経営層の関与が不足していること、また、35%はサステナビリティ向上の活動を実施する上での重要な課題として、サステナビリティ向上の活動に対する社内の抵抗と懐疑を挙げていた。また、売上や利益などの財務的な価値と、環境や社会への価値創出といった非財務的な価値を合わせて向上することが大きな課題であることも確認できたとしている。CEOがパーパス・ドリブンなリーダーシップを発揮し、財務と非財務から成る目標を含む計画を策定し、テクノロジーパートナーとともにデジタル技術を活用していくことが有効だという。
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