2019年まで大都市圏を中心に積極的なIT支出が見込まれプラス成長が継続
従業員規模別でみると、2017年は各従業員規模の企業ではプラス成長を予測している。特に小規模企業(従業員規模1~99人)、中小企業(従業員規模100~499人)では、大都市圏(東名阪など)など、一部を除きIT支出に抑制傾向を継続する企業が多いものの、PC、プリンター/複合機の更新需要が見込めることからプラス成長を見込んでいる。
中堅企業(従業員規模500~999人)では、業績が好調な一部の企業ではシステム刷新が継続しているが、多くの企業ではIT支出は抑制傾向が継続していることに加えて、ハードウェアの更新需要が一部に留まるため、比較的低い成長率を予測している。2020年に開催予定の「東京オリンピック/パラリンピック」を控え、2018年から国内の投資が拡大することから、業績が安定的に改善する企業が増加するとみており、各従業員規模でIT支出はプラス成長で拡大を予測している。
2020年以降の市場拡大持続へSMBの経営課題の解決に直結する積極的提案を
産業分野別でみると、各産業分野でプラス成長を予測しており、特に流通、建設/土木などにおいて比較的高い成長率を見込んでいる。流通では大都市圏の小売業を中心に、オムニチャネル化へのシフトを目的とした積極的なIT支出を予測している。また、建設/土木では、2020年の「東京オリンピック/パラリンピック」に伴う建設需要拡大によって積極的にIT支出を図っている。
2018年以降、各産業分野においてプラス成長で拡大を見込んでいる。特に各産業分野において、人材不足が深刻化し、かつ「働き方改革」が課題となっていることから、ITを活用した業務効率化/業務支援を目的に、タブレットを積極的に活用する企業の増加が見込まれる。ただし、同じ産業分野の企業においても大都市圏とそれ以外の地域間でのIT支出動向の「二極化」がさらに拡大するとみている。
国内SMB IT市場は、PCなどの更新需要が回復していることからプラス成長を予測している。なおSMBでは、既存システム刷新、またはPC更新需要が中心にIT支出の拡大を予測しているが、2020年以降はこれまでのIT支出の反動もあり、低い成長率を予測している。
IDC Japan ITスペンディンググループ リサーチマネージャーの市村仁氏は「ITサプライヤーは、国内SMB IT市場において、2020年以降に市場拡大を持続させるために、SMBの経営課題の解決に直結する提案を積極的に行い、IT活用の有益性を直感的に認識させることが今後更に重要になる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内SMB IT市場 産業分野別予測、2017年~2021年」にその詳細が報告されている。