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週刊DBオンライン 谷川耕一

私物PCと自宅インターネットのリモートワーク環境の安全性は十分に担保されているか?


 新型コロナウイルスへの対策で、リモートワークに切り替えている人は多い。安全なリモートワーク環境を確保するためにVPNの環境を用意し、VDI(仮想デスクトップ)を自宅で利用できるようにしたり、VDIをクラウドから利用するWindows Virtual Desktopを新たに導入したりする企業も増えている。リモートワーク用に新たにノートPCを貸与し、ネットワークも専用のSIMカードを配り携帯電話回線が利用できるようしている企業もある。とはいえ、これらの環境を整えるにはそれなりのIT投資をする必要があり、全ての企業がすぐに準備できるわけではない。こうした状況への、キヤノンマーケティングジャパンの調査とそれに対応するソリューションを紹介する。

現実は私物PCを使い自宅のインターネット経由でリモートワークを実施している

 新型コロナウイルスの影響でビジネスの先行きが見通せない中、新たなIT投資を躊躇している企業も多い。またIT管理の専任担当者がいないような中堅、中小企業では、リモートワーク環境を整備したくてもなかなか手が出せないこともあるだろう。やむなく社員の自宅にあるPCやインターネットワーク回線を、リモートワークのために利用している状況は多々ある。

 キヤノンマーケティングジャパンが実施した「インターネット利用に関する調査」(2020年9月)によれば、自宅で仕事をする際に使用している端末に関する質問で、会支給のPCを利用しているのが57.1%、一方私物のPCの利用も55.7%(複数回答)となっており、私物PCもかなりの割合で仕事に利用されている状況が見てとれる。ネットワーク回線についても、会社支給のモバイルネットワークが27.1%に対し、自宅のネットワークを利用している割合は68.6%高い。実に7割近くの人が、自宅ネットワークをリモートワークに利用しているのだ。

 私物PCや自宅のネットワークとなれば、会社側が強制的にセキュリティ対策などを追加するのは難しい面もある。実際、私物PCに会社用のセキュリティ対策ソフトウェアを入れることに、抵抗がある人もいるだろう。私物PCを利用する際に、どのようにしてリモートワーク環境の安全性を確保するのか。これは企業にとって新たな課題となっている。なんらセキュリティ対策を施さずに、私物PCを仕事に利用することは許されないだろう。

 一方で新型コロナウイルスの感染対策で、人との接触を避けるためにECサイトやフードデリバリなどのオンラインサービスの利用が増えている。さまざまなオンラインサービスを利用するために、それぞれでアカウントを作り、個人情報を登録する。利用するオンラインサービスが増えていることで、情報流出を懸念する声も増えている。オンラインサービスを利用する際に情報漏洩が心配だと言う人は70.5%もあり、さらに利用するサービスが増えていることで管理するIDやパスワードが多すぎて困っていると感じている人も51.3%いる。

 管理が面倒なので、結果的にパスワードを使い回している人も多い。実際、サービスごとに全て異なるパスワードを利用している人は17.8%しかいない。同じIDやパスワードを使い回すことで、不正アクセスを受けるリスクは高まることになる。そういったリスクは、結果的に私物PCやインターネット回線を利用するリモートワーク環境の安全性を損なうことにもなりかねない。

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リモートワークが当たり前の今こそ家庭内環境のセキュリティ強化が必要に

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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