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BtoB SaaSは死ぬのか?生き残るのか? AIエージェント時代のアプリケーションビジネスの未来

「SaaS is Dead(SaaSの死)」を考える

 巷を賑わせる「SaaS is Dead」は、ブラッド・ガースナー氏とビル・ガーリー氏の2人がホストを務めるポッドキャスト「BG2 Pod」に、Microsoft 会長 兼 CEOのサティア・ナデラ氏がゲスト登壇した際の発言とされている。この発言は、ソフトウェア市場関係者に大きな影響をもたらした。そこで本稿では「SaaS is Dead」について、2026年4月時点で既に起きたこと、そして今後起きそうなことを整理したい。

サティア・ナデラは「SaaS is Dead」と言ったのか?

 問題の発言は、「AIファーストの時代には、Excelのようなインフラ的なものを含め、ビジネスアプリケーションのフィールド入力や作業の多くは必要なくなるのではないか?」という質問に答えたものだ。実際の回答内容を整理すると、以下のようになる。

 SaaSアプリケーションの将来についての非常に重要な質問だと思う。Dynamics 365へのアプローチで説明したい。私が思うに、ビジネスアプリケーションは存在しつづけるとしても、エージェント時代には別の形になるだろう。なぜならば、ビジネスアプリケーションの本質は、CRUD(作成/読み取り/更新/削除)データベースに多くのビジネスロジックが載ったものだからだ。ビジネスロジックはすべてエージェント側に移り、エージェントはマルチリポジトリーCRUDになるだろう。バックエンドを問わず、複数のデータベースを横断的に更新する。言ってみれば、すべてのビジネスロジックはAIレイヤーに集約されることになる。ビジネスロジックのAIレイヤーへの移行が終われば、バックエンド自体の置き換えが始まる。

 興味深いことに、Dynamics 365でもエージェントの採用が進んでいる。カスタマーサービスだけでなくその他の領域でも、積極的に再構築に取り組もうとしている。CRMだけでなく、私たちがFinance & Operationsと呼ぶ領域でも同様の動きが大きくなってきた。ユーザーがよりAIネイティブなビジネスアプリケーションを求めているためだ。これはビジネスアプリケーションのビジネスロジック層をエージェントがオーケストレーションすることを意味する。「Copilot→エージェント→ビジネスアプリケーション」という流れが非常にシームレスになるとも言える。

 破壊的変化が起きるだろう。Microsoft 365に対するアプローチでは、Copilotを「AIのために整理したUIレイヤー」として構築し、すべてのエージェントをそこに統合することになる。Copilotから見ると、Excelも1つのエージェント、Wordも1つのエージェントになり、それぞれが何かを遂行するための「キャンバス」になる。法務文書を扱うのであれば、Pagesで始めてWordに取り込むと、Copilotも一緒に作業する。Excelに移動すると、Copilotも一緒に処理をする。このような形で、ワークフローそのものの捉え方が新しくなる。[※]

 この発言内容から理解しておくべきことは、大きく3つあるように思う。第一に「SaaS is Dead」と明確に述べたわけではないことだ。発言の要点は、既存のSaaSが廃れるのではなく、ソフトウェアアーキテクチャの破壊的変化により、再構築を迫られるという予測にある。

 第二に、Microsoft自身もCRMとERPを統合した「Dynamics 365」のビジネスを運営するSaaSベンダーであることだ。日本企業も顧客に抱えるビジネスの将来性を否定することは考えにくい。

 第三に、ビジネスアプリケーションのアーキテクチャが変わるならば、ExcelやWordのような作業インフラにも同じことが当てはまることだ。だからこそ、ナデラ氏はワークフローの捉え方が変わると説明している。

[※] 出典:「Satya Nadella | BG2 w/ Bill Gurley & Brad Gerstner」(2024年12月13日)(注:46:34頃から該当の発言が始まる)

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「製品アーキテクチャ」に見る、破壊的変化(ディスラプション)

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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