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酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

データは記録からAIの糧に──50年分のレガシーDWH刷新で、アフラック「AX」の基盤が整う

第45回:アフラック生命保険株式会社 データ統括部 部長 建部友美さん

 アフラック生命保険は2026年、「AX@Aflac」を掲げ、AIを競争力の源泉として明確に位置づけた。生成AIを全社展開するとともに、創業以来50年蓄積してきたデータをクラウドへ移行、さらに保険業務の中核にAIエージェントを適用するなど次々と成果を上げている。その変革をリードするのが、データ統括部 部長の建部友美さんだ。「データは記録するためのものから、AIの思考の糧へと役割を変えつつある」と建部さんは言う。アフラックが描くAX戦略を聞いた。

DX⇒AXにアップデート「AIが使えるようにデータを整備」

酒井真弓:まず「AX@Aflac」とは、具体的にどのような戦略なのか教えてください。

建部友美:2025年までは「DX@Aflac」を旗印に取り組んできましたが、2026年はAIエージェント元年という認識のもと、AIを中核能力と位置づけ、「AX@Aflac」に進化させました。AI活用自体は2018年から機械学習を中心に取り組んできましたが、生成AIの登場を踏まえ、戦略をアップデートしたのです。

 私たちデータ統括部では、生成AIを含むAIによる価値創出、機械学習モデルの開発、データパイプラインの構築、データマネジメント、AI・DBアーキテクチャの整備、社員教育まで、AI・データに関わる多くを担っています。毎日のように新しい技術が出てくるのでキャッチアップするだけでも大変ですが、刺激的でとても充実しています。

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アフラック生命保険株式会社 データ統括部 部長 建部友美さん

酒井:一番注力していることは何ですか。

建部:一言で言うと、「データをAIが使えるように整備していくこと」です。これまでデータといえば、記録して蓄積する、いわば記憶としての存在でした。でもこれからは、AIの思考を支えるものへと役割が変化していくと考えています。音声や画像といった非構造化データやマルチモーダルなデータを、どうAIが解釈しやすいデータに変換していくか。そのために、セマンテック情報などを含めたデータカタログの整備を今まさに進めているところです。

 AIが業務を効率化するだけでなく、人と密接に協働してお客様体験や社員の働き方そのものを再創造していく。そこを目指しているので、やりがいはとても大きいですね。

クラウド移行は不可避 50年分のオンプレDWHを2年で刷新

酒井:創業以来のお客様の契約管理データを蓄積してきたDWHの移行に取り組まれたそうですね。約2年間のプロジェクトで、2025年末に完了したとのことですが、そもそもなぜ移行を決めたのでしょうか。

建部:もともと当社のシステムはオンプレミスで構築されていて、全社的にクラウドへ移行していこうという大きな流れがありました。ただ、今回は単なるEOS対応ではなく、現場の社員がもっと簡単にデータを抽出・加工できる環境を整え、データドリブンな働き方をさらに根付かせていきたいという目的が大きかったです。

酒井:クラウド移行が、AXにもつながるわけですね。

建部:そうなんです。移行後のDWHにはAIが標準で備わっていて、それはクラウド上で提供されるものですから、クラウド移行は避けて通れません。将来的には、AIがデータから示唆を導き出してくれるようにしたいので、このプロジェクトはそのための第一歩でもありました。

酒井:かなりの大規模なプロジェクトだったと聞いています。

建部:移行容量は12TB、テーブル数は7,000以上で、中間テーブルも含めると1万を超えました。関連するアプリは50以上、インターフェースは1,500本でした。

 苦労したことは大きく2つあって、1つ目は文字コードの変換です。メインフレームのデータをETLツールで変換しながらクラウドのDWHに移行するのですが、メインフレーム、ETL、OS、データベースとそれぞれ文字コードが異なるので、UTF-8への変換処理が非常に複雑でした。特に長音や特殊文字がことごとく文字化けしてしまうんです。これは日本固有の問題で、ベンダーも製品として対応するのは難しい面もあり、テストで一つひとつ潰していくしかありませんでした。

 2つ目は夜間バッチです。毎晩、基幹システムからデータを取り込む処理が走るのですが、オンプレのときは社内ネットワーク内なので速かったんです。それがクラウド経由になるとかなり時間がかかるようになって、夜間の限られた時間内に収められるのか、何度も移行テストを繰り返しました。

 さらにこの2年、AIの進化があまりに速く、採用していたDWH製品そのものの方向性が変わるという出来事もありましたね。仕方ないことですが、柔軟に対応していくのは大変でした。本当に激しい2年間でした(笑)。ただ、これだけの規模の移行をやり遂げたことは、メンバーにとっても大きな自信になったと思います。私もやっと一安心です。

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現場とデータサイエンティストの間に立つ「仲介者」の存在意義

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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