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酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

データは記録からAIの糧に──50年分のレガシーDWH刷新で、アフラック「AX」の基盤が整う

第45回:アフラック生命保険株式会社 データ統括部 部長 建部友美さん

研修で終わらせない、“地続きの実践プログラム”による草の根活動

酒井:データ分析の民主化も進めていますね。

建部:市民データサイエンティストを育てる、4ヵ月間の「データアンバサダー育成プログラム」を6年間続けていて、約500人が修了しています。特徴的なのは、受講するメンバーだけでなく、その上司の皆さんにも適宜参画いただいていることです。

 こうした研修って、現場と分断しがちなんですよね。上司の中には「忙しい中で4ヵ月も人を出さないといけないのか」という考えもあるでしょう。だからこそこのプログラムは、学んだことをすぐに現場に活かせることを重視していて、受講者と上司が一緒に業務直結の課題を設定するところからスタートします。課題は管理職の視座で考えてもらい、上司と共有しながら「この設定で正しいか」を確認する。4ヵ月の最初と最後は上司を交えた1on2を実施して、育成にしっかりコミットしてもらいます。上司がコミットするかどうかで、効果もメンバーのモチベーションも全然変わってくるんです。

画像を説明するテキストなくても可

引用:データアンバサダー育成の取り組み

[クリックすると拡大します]

酒井:現場はどう変わってきましたか?

建部:上司の皆さんから、「主観や感覚で話していたメンバーが、データから納得感のある説明をしてくれるようになった」という声が上がってくるようになりました。営業であれば、代理店への提案を勘や経験からだけではなくデータから導き出せるようになる。それが持続的な営業成果につながるので、上司にとっても手応えがあるようです。卒業生にはツールの使い方や生成AIの活用方法を定期配信するなど、学んで終わりにしない支援も続けています。6年間愚直にやってきたことで、データドリブンな文化が少しずつ根付いてきました。

膨大なマニュアルを武器に、AIエージェントによる自動化を目指す

酒井:生成AI活用はどのように進めてこられているのでしょうか。

建部:2023年に社内生成AIシステム「Aflac Assist」をリリースしました。マニュアルや保険約款の情報をRAGとして組み込んで、社員がチャットで検索・参照できる仕組みです。今では全社員の8割以上が使っていて、何かを調べるときにはまずAflac Assistに聞くのがすっかり定着しています。

酒井:データの準備に関しては、苦労もあったのではないですか?

建部:当初は膨大な量のマニュアルをそのまま読み込ませていたのですが、構造化されていないので、AIが文脈を正しく理解できず、80%程度の精度にとどまってしまっていました。LLMのバージョンアップで徐々に改善はされてきているものの、99%の水準に近づけるのに苦労しているところです。今は様々な技術を使って、AIがマニュアルを読みやすい形に変換していく作業を進めています。保険会社はマニュアルの量がとにかく多いので、地道な作業ではあるのですが、ここをしっかり整備することがAXの土台になるはずです。

酒井:次のステップとして、どんなことを考えていらっしゃいますか?

画像を説明するテキストなくても可

建部:保険金の支払い、お客様の情報を更新する保全業務といった保険業務の中核にAIエージェントを組み込んでいきたいです。実は今、保険契約事務を抜本的に改革する全社プロジェクトが走っています。IT・デジタルオペレーション部門には委託先含めて1,000名以上の事務スタッフがいて、現在はお客様から保険金の請求があると、難しい症例に関しては診断書と約款を突き合わせたり、医長と相談したりしながら人手で判断しています。

 しかし、AIの技術の進化によって、自動判定できる部分が拡大する可能性があり、AIエージェントでどう自動化するか、アーキテクチャを今まさに検討しているところです。

酒井:AIエージェントによって保険業務の自動化が進むと、事務の皆さんの役割はどう変わっていくのでしょうか。

建部:事務の負荷が減った分、お客様ともっと向き合えるようになると思っています。今は事務をしながら電話対応もこなすというのが実情で、もどかしい部分があるんですね。お客様との接点をより厚くして、感動的なお客様体験を作っていく、それがこのプロジェクトの目指すところです。

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大学院での恩師に衝撃 “なんとなく進学”が一転「私も働かねば」

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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