アビームコンサルティングは、日本の19地域のまちづくりに取り組む企業に勤める人を対象に、「地域価値共創の取り組みにおける生成AI活用の実態調査」を実施した。
生成AIの活用率は、都市の規模を問わず「商業施設の充実」が高い
地域の価値共創の取り組みにおける生成AIの活用率は、都市の規模を問わず65%前後が「商業施設の充実」と最も多く、小都市では「地産地消の推進」「自然体験」も60%と多かったことから、地域の特徴を活かすことを目的とした生成AI活用が顕著であるとわかったという。また、規模問わず「福祉サービス」の活用率が40%以下と低く、その要因としては、人対人のコミュニケーションが重視される点や、慢性的な人材不足によるリソース確保などが考えられるとしている。
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利用している生成AIは、都市の規模を問わず「ChatGPT」が半数以上を占める
利用している生成AIは、都市の規模を問わず「ChatGPT(OpenAI)」「Microsoft Copilot」「Gemini(Google Bard)」が上位3製品を占める結果に。小都市は大・中都市と比較して、上位3位未満のツールの利用割合も高く、幅広いツールが利用されていることが明らかになったという。
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生成AIの導入効果、大・中都市では「外部環境データの収集・分析の品質向上」
生成AIの導入効果について、大都市・中都市は「外部環境データの収集・分析の品質向上」の割合が最も高く40.2%。小都市では「企画立案業務の品質向上」が34.3%で最多となり、主に情報収集や企画業務に活用されていることがうかがえるという。一方、「まだ効果を確認していない」と回答した割合は、大都市で11.3%、中都市で14.3%、小都市で11.9%。「効果は得られなかった」と回答した人の割合は、選択できる回答の中で最も低い割合となり、多くの企業が一定の効果を得られていることが示唆されるとのことだ。
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生成AI導入時の課題は、都市の規模を問わず「導入しても使いこなせない」
導入時の課題には、都市の規模を問わず「導入しても使いこなせない、浸透しない」と「情報が正確か不安」がそれぞれ30%以上となり、最も高い割合になったとしている。また、大都市では「社内でツールの利用を促進する人材がいない」が2番目に高い割合を示し、小都市では「どの程度改善されるかわからない」が大・中都市と比較して高い結果になったという。これらの結果から、生成AIの具体的な活用方法やイメージが浸透していないことが導入のハードルになっていると考えられるとのことだ。
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生成AIを導入していない理由、「利用を促進する人材がいない」「使いこなせない」
現時点で生成AIを活用していない理由について、大・中都市では「社内でツールの利用を促進する人材がいない」が最も多く、次いで「費用対効果が合わない」が続いた。また、小都市においては「導入しても使いこなせない、浸透しない」が最多となり、続いて「自分の業務において必要性を感じない」という結果になったという。
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調査概要
- 調査名:地域価値共創の取り組みにおける生成AI活用の実態調査
- 調査期間:2024年10月25日~11月8日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:官公庁・自治体を除く、19地域の価値共創に関わる、鉄道、バス、タクシー、不動産、百貨店、スーパー、エンターテインメントなどのまちづくり企業従事者(企業規模や部署、年齢・性別不問)
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対象地域:価値共創に関わっている地域を、人口規模により大都市、中都市、小都市に分類
- 大都市(人口160万人~):東京(23区)、東京(23区以外)、横浜、大阪、名古屋、札幌、福岡
- 中都市(人口100~160万人):川崎、神戸、京都、さいたま、広島、仙台
- 小都市(人口80~100万人):千葉、北九州、堺、新潟、浜松、相模原
- 調査人数:1,957名
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