SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2026 Spring

2026年3月 オンライン開催予定

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

Security Online Day 2025 秋の陣 レポート

IT・セキュリティ担当者も知っておくべき?JPCERT/CC佐々木勇人氏が語る「サイバー安全保障」の考え方

日本で進む「能動的サイバー防御」の環境整備、企業のセキュリティ対策・インシデント対応はどう変わる?

 世界各国でサイバーインシデントの報告を義務化する動きが進んでいる。米国の「72時間以内の報告ルール」が先行する中、各国での制度はまだ混沌としており、複雑な対応が迫られているのが現状だ。こうした潮流は、企業のセキュリティ担当者にもいずれ影響を及ぼし、対応の変化を迫ることになるだろう。2025年9月に開催した「Security Online Day 2025 秋の陣」に、JPCERT コーディネーションセンターの佐々木勇人氏が登壇し、各国で進む制度設計や日本で進む能動的サイバー防御の環境整備、そしてその根幹にある「サイバー安全保障」の考え方について解説した。

各国で進むインシデント報告の義務化、米国では72時間ルールも

 世界各国でサイバーインシデントの迅速な報告義務化が潮流となっており、多くの国でインシデント報告基準の制度整備が進んでいる。佐々木氏はこの動向について、「基本的には重要インフラ事業者が報告義務の対象になっているが、各国で対象範囲は様々だ。特にグローバル企業では、国・地域ごとにバラバラな制度への対応に頭を悩ませている担当者も多い」と語る。

 こうした制度の重要な特徴として、「“被害情報の開示”と“インシデント報告”が混在している点が挙げられる」と佐々木氏。個人情報保護法制の強化を目的とした制度と、サイバー脅威の動向把握を純粋に目指した情報収集制度が同時に存在している状況とのことだ。

一般社団法人JPCERT コーディネーションセンター 脅威アナリスト 政策担当部長 兼 早期警戒グループマネージャー 佐々木勇人氏
一般社団法人JPCERT コーディネーションセンター 脅威アナリスト 政策担当部長 兼 早期警戒グループマネージャー
佐々木勇人氏

 注目すべき制度として、同氏は2022年に米国で成立した「CIRCIA(Cyber Incident Reporting for Critical Infrastructure Act)」を挙げる。これは重要インフラ事業者に対し、サイバーインシデント発生から72時間以内にCISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)への報告を義務付けるというもの。2026年の規則施行を目指しているが、詳細な報告要件の策定は遅れているようだ。

 この制度によってCISAが目指す効果は2つ。「攻撃を受けた被害者への支援提供」と、「様々なセクターから寄せられる情報の一元化による攻撃傾向の把握」だ。国が脅威に対して積極的に対処する姿勢を明確にしている点が特徴だと佐々木氏は説明する。

画像クリックで拡大表示

 ただし、72時間以内の速報義務とはいっても、攻撃類型によって大きく効果は異なってくる。たとえば高度な標的型攻撃を受けた場合、通常は発覚から72時間以内では本格的調査には着手できておらず、せいぜい最初のトリアージや、調査ベンダーの選定作業が終わったくらいのフェーズだろう。一方、ランサムウェア攻撃の場合は、発覚とほぼ同じタイミングでどのような種類のランサムウェアなのか、どういったグループが犯行声明を出しているかが即座に判明するケースが多い。

次のページ
“サイバー安全保障的”な対応のキーワード「攻撃キャンペーン」とは?

この記事は参考になりましたか?


広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

  • Facebook
  • X
  • note
Security Online Day 2025 秋の陣 レポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/22721 2025/11/11 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング