2025年12月5日、ZIAIは、兵庫県姫路市と連携し、重層的支援体制整備事業の一環として生成AI技術を活用した「福祉つながる相談窓口」を12月4日から本格運用したと発表した。

重層的支援体制整備事業は、2021年4月に施行された社会福祉法の改正により創設された制度。個人や世帯が抱える複雑化・複合化した支援ニーズに対応するため、介護・障害・子育て・生活困窮といった分野別の支援体制を超えて、包括的な支援体制を構築することを目的としている。
姫路市は2022年度から同事業を開始。アンケート調査では、市民の約3割が「問題を抱えているが、どこにも相談できていない」と回答し、福祉つながる窓口は40代以上の相談が中心だったという。
重層的支援体制整備事業では、支援が届いていない人への「アウトリーチなどを通じた継続的支援」が重要な要素とされており、同市はSNS相談や匿名性を保持した相談体制の拡充を検討。その一環として、デジタル技術を活用した相談窓口の可能性を探るため、2024年10月17日から12月17日まで実証実験を実施したとのことだ。
実証期間中に行われた傾聴AIと住民との対話時間は計192時間で、521件の相談が寄せられたという。最終的なユーザー満足度は70%、リピート率は24%を記録したという。利用者の過半数が10〜30代の若年層であり、これまで接点を持てていなかった住民にもリーチできたとしている。これらの結果なども踏まえ、今回の導入に至ったそうだ。
取り組みの概要
今回の取り組みは、重層的支援体制整備事業における以下の機能を強化するもの。
- 包括的相談支援事業:属性や世代を問わない相談の受け止め
- アウトリーチなどを通じた継続的支援事業:支援が届いていない人への積極的なアプローチ
- 多機関協働事業:適切な支援機関へのつなぎと連携
特徴、概要は以下のとおり。
- 24時間365日対応:深夜・早朝・休日を問わず、いつでも相談可能
- 専門家監修による傾聴設計:臨床心理士・言語学者等の専門家が監修。共感的な傾聴を重視した対話設計により、相談者に寄り添った応答を実現する
- 人へのスムーズな連携機能:相談内容に応じて、適切な相談窓口や支援制度を案内する
- 期間:2025年12月4日(木)開始
- 対象:姫路市民(年齢・国籍不問)
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