Microsoft Corporation(以下、マイクロソフト)は2025年3月27日、日本の企業や組織向けに、より高度なAI処理能力と計算資源を提供するために、国内データセンターの拡張計画を発表した。これは、2024年4月に発表した約4400億円(29億米ドル、1米ドル=152円で換算)の投資の一環で、2025年までに日本のAIおよびクラウド基盤を強化することが目的だとしている。
今回の拡張で、マイクロソフトはNVIDIAの高性能GPUをはじめ、Azureハイパフォーマンスコンピューティングを日本リージョンに導入し、2025年4月中旬から、より高度な計算資源が利用できるようになるという。同発表は、大規模なAI処理を支える高度な計算資源を提供するという、マイクロソフトの日本市場に対する継続的な投資の姿勢を示しているとのことだ。
発表同日、東京ビッグサイトで開催した「Microsoft AI Tour」では数千人の企業経営者や開発者が集まり、最先端のAI活用のベストプラクティスや最新技術のデモンストレーションを交え、活発な議論が行われたという。

また、AIとサイバーセキュリティに関するスキル習得を支援する新プログラム「CyberSmart AI」の提供を開始した。同プログラムは、新たに独自開発したもので、特に人材育成の分野で貢献することを期待してるという。参加者は、今日のサイバー脅威において有用な最新のサイバーセキュリティーに関する知識に加え、サイバーセキュリティのレジリエンスと運用戦略におけるAI活用スキルを体系的に習得できるとしている。同プログラムは、政府機関、国内の基幹インフラ事業者、公営企業などを対象に無償で提供するとのことだ。
上記に加え、より多くの人に届けるべく、既存のプログラムも拡充するという。
- 開発者向けには「AIドリブン開発」をテーマに企業向けの研修、リファレンスアーキテクチャの拡充、ワークショップを開催し、開発工程の簡略化と効率化を支援
- 中小企業のAI活用推進では、全国各地のMicrosoft Baseで、AIの基礎知識や活用方法を学ぶセミナーやよろず相談会をパートナー企業各社と開催
- 自治体など、公共機関向けに連携協定などを通じ、法令や技術要件などに準拠したAIツールの導入と利用に向けた個別プログラムを提供
- 「Code; without Barriers in Japan」では、女性のAI人材育成を目指し、活動を拡大
- 国連大学と連携し、10時間以下でAIの基礎を学べるオンライン講座を提供。修了後、国連大学からマイクロクレデンシャルを付与
- キャリア形成に必要なAIスキル取得を支援する「マネージャーのためのAI講座 by Microsoft x LinkedIn」を、2025年12月まで無償提供
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